第九話 第十一部 三年間の息はぴったり
ノーアウトランナー一塁。ここでバッターは府中先輩に回った。キャプテンなら確実に点を取りにいってくれるだろう。でも監督からのサインはどうなるのだろうか。
日下部「(ここはバントだ。だが、お前も生きるようなバントだ。そして卜部、走れ。)」
卜部「(ずいぶんと攻撃的だな。よっしゃ!)」
府中「(勝つための野球、それが俺のやり方だ。)」
ピッチャーがセットポジションに入る。ランナーを少し気にしながら構える。
ザッ
沖田「ゴォ!!」
ダッ!
卜部先輩が走った。しかもピッチャーは足を高く上げている。この投げ方しかできないのだろうか。だとしたら…。
成見「かまわねぇ!」
シュッ! シュゴーー
府中「(そうくるか。なら!)」
スッ
えっ!? 府中先輩がバント?
コツン。
田淵「セカンド間に合わない! 一つとりに行け!」
成見「ちぃ。」
ピッチャーがボールの処理に入る。しかし府中先輩も早い。全力で走っている。
成見「ファーストッ!」
田淵「投げるな!」
しかしその反応には対応できずにファーストに投げる。タイミングはきわどそうだ。そしてファーストランナーだった卜部先輩がセカンドベースを踏んでサードベースに向かっていた。
バシン!
セーフ!
しかも運良く、府中先輩はセーフになった。
富田「サード!」
ファーストがサードに向かって投げる。しかし卜部先輩の足は速く、余裕でサードベースに到達した。
府中「ナイス卜部!」
卜部「ナイバント! キャプテン!」
二人の息はピッタリだった。そしてここで三番の海鳳に回ってきた。




