第九話 第十部 作戦開始。
…………。
両チームとも三回を終えてヒットは一本も無かった。投手がそれだけ良いということだろう。試合が動き始めたのは四回の表からだった。ノーアウト、先頭バッターは卜部先輩だ。
シューーーバシン!
ストライクワン!
卜部「(さっきはこの球を強引に振りに行ったからダメだったんだ。ミートに徹底して、確実に塁にでるんだ!)」
シューー
ガキィン!
なかなか良い当たりだったが、レフトのファールゾーンへ。ツーストライクツーボールになった。当てることは出来ているがどうもフェアゾーンに入らない。どうやって攻めていくのだろうか。
シューーー ギィン!
ファールボール!
今度は後ろにボールが飛んでいった。タイミングを合わせると打球位置がずれる。難しいストレートだ。
日下部「(ここは勝負だ。)」
卜部「(うっひょー、すんげぇ賭けだなそりゃ。わかったぜ監督、決めてみせるぜ。)」
ピッチャーが足を上げて投げた。
ビシュッ シューーー
スッ
中本「なっ!?」
富田「まじか!」
コツン。
卜部先輩がセーフティーバントを仕掛けた。しかもスリーバント失敗となる状況で。しかし打球は綺麗にサードの方面へと転がっていく。投手もこれにはあわててとりに行こうとするが、時すでに遅し。卜部先輩は一塁ベースを強く踏んで駆け抜けた。
セーフ!
卜部「っし!」
海鳳「ナイス卜部先輩!」
見事にバントが決まって初のランナーが出た。これは大きなチャンスになりそうだ。
綾「ナイス!! 皆いくよ!」
優衣「私たちもやるよ!」
ピッピッピー
チアリーディング部が吹奏楽の音楽に合わせて踊る。それに負けじと優衣たちのスノーフェアリーも踊る。その姿はとても綺麗で、さらに太陽の光がその美しさを際立てていた。
阿湖音「あれは一体どんな魔法を使ったのだ? あの速さは人間ではないぞ。」
美琴「いや、あれは普通にスポーツだから魔法なんてないよ。それに人間よ。」




