第九話 第九部 もし敵だったら…
ブシィ! バシーン! ストライクツー!
谷村「(くそっ、どうやってこの球を打てって言うんだよ。)」
本当にすごかった。館川のピッチングには何か闘志をむき出しにして戦っている人のようだった。それは相手にものすごいプレッシャーを与え、良いピッチングを引き出してもいた。
ブン! バシーン! ストライクバッターアウト!
館川「おっしゃ!」
友亀「ナイス館川!」
また三振、これでツーアウト。もし館川が敵のチームだったとしたら…私たちは勝てたのだろうか…。いや、いくら私たちの打撃力があったとしても今日の館川には手も足もでないだろう。本当に味方でよかった。その姿は今一番戦いたくない相手と思わせるほどだった。
浜本「せめて当てることぐらいしなきゃな。」
次は三番の浜本が左バッターボックスに入った。バットはねかせて構えている。ゆったりとしたフォームだ。館川はそれがどうしたと言わんばかりに強気の投球をした。
シューーーー
浜本「(ここだ、振れ!)」
ギィン!
浜本「ちっ。」
打球はファーストにボテボテのゴロ、池之宮はゆっくりと捕球体勢に入ってしっかりととる。そして自分でベースを踏んだ。
アウト!!
卜部「ナイス池之宮!」
栗山「ピッチャーいいね!」
三者凡退で切ることができた。今日の館川は一味違った。まるで別人だ。
日下部「よし、ナイスピッチング館川。この調子でいこう。」
館川「はいっ!」
館川はゆっくりとベンチに座った。そして私のほうを向いて言った。
館川「どうだ、俺のピッチングは。」
亜弓「うん、すごいよ。今日なら誰にも打たれない気がする。」
館川「そうか、ありがとな。」
そういって館川は飲み物を取りに行った。




