第九話 第五部 ムービングファストボール
バシーン!
海鳳「おお、いい球投げるね。アレが一年か。」
府中「……。」
卜部「どうしたキャプテン。」
府中「いや、あいつの球筋がな…。」
球筋が何かあったのだろうか。でもあの人の投げ方が特徴的だ。なんというか…投球フォームを教わってきてない人のような…。
卜部「まあ俺にまかせろ!」
卜部先輩が走ってバッターサークルに向かう。でも何かしら心配だ。どんな投球をしてくるのだろう…。
審判「プレイボール!」
試合が始まった。相手の投手はいったいどんな作戦を取ってくるのだろう…。
成見「しゃああああ!!」
そして相変わらず元気だ。すっごい元気な人だ。
新天「懐かしいな、アイツと対決したことあるぜ。くせものってイメージにピッタリだな。」
新天は知っているようだ。そしたら沖田や米倉も知っているということなのだろうか。ピッチャーが振りかぶる。そして足を高くあげて踏み出す。
成見「よいしょ!」
シュルルルル
バシーン!
ストライクワン!
卜部「(これは…?)」
良い球がミットにおさまった。だけど球は決して速いというわけではない。一年生では合格ラインの120キロ後半ぐらいだろうか。でもそれだけで勝ち上がってきたとは思えない…。武器をきっと隠しているはずだ。それがどんな球なのかは私たちには全くわからない。
シュルルルルル
卜部「(同じ球!)」
ギィン!
卜部「なっ!?」
打球がコロコロとサードに向かっている。完璧なタイミングでとらえたはずなのに…。いったいあの球には何が…。
バシン! アウト!
卜部「どういうこっちゃ?」
卜部先輩が不思議そうな顔で戻っていった。やっぱりあのストレートには何かある。
沖田「やっぱり…。」
米倉「ムービングファストボールか。」




