第八話 第四十七部 ダイビングキャッチ、そしてラストバッター。
海鳳「しゃあああ!」
海鳳がセンター前に落ちそうなボールを捕球した。このプレーは本当に大きい。そしてツーアウト。あと一つになった。
府中「ナイスプレー海鳳!」
友亀「よし! ツーアウトだツーアウト!」
三宮「くそっ!!」
徳川「能登!! たのむ、お前が頼りだ!」
相手にとってみれば後が無くなった。バッターは六番の能登。あと一人、落ち着いて抑えていこう。
稲本「頼むぞ!」
小島「お前が頼りだ!!」
能登「しゃあああ!」
バッターが思いっきり叫ぶ。テレビからは相手チームのベンチが映されている。もう涙目になっている人たちもいる。こう見るとなぜか悲しくなってくる。私たちもこうなってしまうのだろうか。いや、そんなことにはなりたくない。勝ち続けなきゃ!
シューーーバシン!
ストライクワン!
よし、まずストライクを取ることができた。この球の勢いなら大丈夫なはず。
館川「あわててはダメだ。慎重に、落ち着いて…。」
シューーー バシン!
ボールワン!
館川「(おしい!)」
能登「(あっぶねぇ。)」
ああ、惜しい。一球一球にものすごく神経をすり減らしているのが伝わってくる。相当なプレッシャーの中戦っているだろう。私は最終回まで本気で投げたことが今まであっただろうか…。
友亀「(ここは勝負だ。)」
館川「(おう。)」
館川が振りかぶる。バッターは投手に思いっきり集中している。
能登「(これだけ強い相手とここまで戦っていけたんだ。それも一点差。こんなところで…。)」
シュッ グググググッ
上原「(パームボール!)打ち急ぐな!!」
能登「(負けられないんだよぉお!!)」
ギィイイイイン!
友亀「サード!」
パームボールに打ち急いでしまった。綺麗な音はしたが、高いサードへのフライ。新天はゆっくりとフライの落下点に移動する。ボールが落ちてくる。風は無風、何も邪魔するものはない。しっかりとれば…。
バシン!
審判「アウト! ゲームセット! 集合!!」
館川「っしゃああ!」




