第八話 第四十六部 スロー&スピード
さすが館川。パームボールでまず相手を翻弄させた。テレビから見てもすごさが伝わってくる。球が来ないという感覚はバッターからでしか味わえないが、テレビでみても遅さは伝わってくる。これなら緩急をつけて…。
シュゴーーー ズバーン!ブン!
ストライクツー
上原「(くそったれが!)」
館川「(迷え迷え。それが俺の持ち味にもなっているんだ!)」
シュゴーーーー バシーーーン!
ストライクバッターアウト!
館川「しゃああ!」
館川が見事に三球三振にしとめた。これでスリーアウトチェンジになった。だけど一点差。もう一点もやれない状況になった。
府中「ナイスピッチング!」
館川「ありがとうです!」
海鳳「お前も負けてられないな。」
館川「ったりめーだ。」
館川はゆっくりと戻っていった。そしてベンチに座っている芦毛先輩のところに向かった。
館川「お疲れ様です。ここまでの力投は無駄にはさせません。」
芦毛「ありがとう。頼むぜ。」
そういってグータッチをして監督の周りに集まった。
…………。
九回の表。ワンアウトランナー無しまで進めていった。私たちの攻撃は三人であっさりと終わってしまった。でもここまできたらもう押さえるしかない。館川もそのプレッシャーと戦っているはず。頑張って!
シュッ グググッ
三宮「(このまま終わってたまるかよ!)」
ギィイイン!
館川「なっ。」
友亀「センター!」
センターにフラフラと打球が飛んでいく間に落ちそうで落ちなさそうな微妙なところだ。
徳川「おちろおおお!!」
稲本「頼むっ!」
相手チームは願っている。だけれどもこっちだって落としたくない。落としてしまったら同点、さらには逆転されてしまうかもしれないからだ。
海鳳「俺が取る!」
海鳳がセンターから全力疾走でボールを追っている。
海鳳「らああ!」
海鳳が飛びついた。空中でボールとグローブが近づいていく。
スタンド「とれえええええ!!!」
相手スタンド「落ちろおおおお!!!」
バシン! ズザザザザ
アウト!!!




