第八話 第四十一部 芦毛先輩の体力。
日下部「沖田! 代打羽葉のところで交代だ。」
沖田「はい!」
由紀「………。」
深沢「どうした羽葉。どこか具合でも悪いのか。」
由紀「いえ、モチベーションの問題です。申し訳ありません…。」
深沢「日高のことか…。」
深沢コーチが由紀の肩をポンポンと叩く。
深沢「あまり考えこみすぎるな。日高は必ず次の試合までには戻ってくる。」
由紀「はい…。」
ウグイス嬢「松江学園、守備の交代をお知らせします。代打の羽葉に変わりまして、レフト、沖田くん。代走の伊沢くんがそのまま守備についてショート。ショートを守っていた栗山くんに変わりましてセカンド、米倉くん。」
選手の交代が告げられた。由紀が下がった。バッティングがあんなにダメだったから変えられてしまったのだろうか。そして一年生グループが守備についた。投手とライト以外は全員一年生になった。こうテレビで見てみるとなんとすごいメンバーなのだろう。そして芦毛先輩がまだマウンドにいた。疲れている様子はあるけれども、この守備ならまだ問題ないはず。頑張って、芦毛先輩!
バシン! ボールファア!
バシーン! ボールファア!
二者連続ファーボールなんて…ノーアウト一塁二塁になってしまった。やっぱり芦毛先輩は疲れている。これじゃあいくら球が良くても、リードが良くても意味が無い。このままでは…。そしてトップバッターに戻って小島がバッターボックスに入った。足が速いバッターだから気をつけていかなければ。
シュルルルル バシン! ストライクワン!
ストライクが入った。これは大きい。でも次の球をどう投げるかがポイントだ。
小島「(あのスクリューはまだ生きている。今の俺たちが手に負える球じゃねぇ。ならストレート一本だ。これで攻めるしかない。)」
シュルルルル バシン! ストライクツー!
またストライクだ。これで追い込んだ!
小島「(くそ、見れば見るほどいやになるスクリューだ。これだけ投げられちゃあ対処が難しい。)」
友亀「(スクリューのコントロールがまだいい。それならスクリューでここも勝負だ!)」
芦毛「(勝負だな。俺だって伊達に二年間エースをやっていたんだ。こんなところで負けてたまるか!)」
芦毛先輩が大きなフォームで投げようとする。あ、ダメだ! これは力みすぎだ!
シュッ!
芦毛「(ヤベッ!)」
友亀「(球が抜けた!?)」
シューーー
曲がらない球が内角一直線に飛び込んでいく。
小島「(もらった!)」




