第八話 第三十六部 攻撃的走塁
三宮「んだと!?」
バシーーン! ストライクワン!
キャッチャーが捕球するとすぐにセカンドに送球した。しかし伊沢の足にはかなうわけでもなく、送球がマウンド近くにたどり着いたときにはすでにセカンドベースに到達していた。
優衣「すごいすごい!!」
海鳳「ナイスラン!」
瞳「あの判断力はすごいね。」
セカンドに付いた伊沢をカメラがアップで映す。伊沢の顔はニコニコしていた。それは試合に出れた嬉しさと結果を出せた顔だ。そしてランナー二塁、ワンストライクになった。伊沢は再び大きなリードを取る。セカンドでもあんなリードを取るのだろうか。いくらなんでもこんなに積極的な走塁。いや、攻撃的な走塁は見たことが無い。ピッチャーが足を上げる。今度はすぐにスタートしない。そして、セカンドランナーを見ていたピッチャーがキャッチャーの方を見た瞬間…。
ダダダダッ
辻田「ランナー走った!」
さ、三盗!? いやいや、これはいくらなんでも…。いや、ものすごく足が速い。
バシン! ストライクツー!
三宮「クソッタレが!」
シュッ
今度は早い送球と良いところに投げてきた。間に合って!!
ザザザザッ バシン
審判「セーーフ!」
すぐに判定が出た。足の方が圧倒的早かった。まさか三盗までしてくれるなんて…。これで大きなチャンスを迎えた。しかしツーストライク。いくら府中キャプテンでもこれは…。まって、これってゴロを転がしてもホームはセーフになるとわかっていてこうしたのだろうか? そうしたら府中先輩はよほどの打球以外を打てば必ず一点入ると確信してツーストライクまで追い込まれるまで盗塁を優先させたかったのだろうか。ともかくツーストライク。ピッチャーが足を上げる。
グググググッ
池之宮「チェンジアップ!」
遅い球、チェンジアップだ。しかし、全くタイミングをずらさずにためている。
府中「ここ!」
キィイイン!




