第八話 第三十三部 苦しいのは自分たちだけじゃない。
友亀「これで…同点か。」
芦毛「すまねえ。俺が捕まっちまって。」
府中「大丈夫だ、俺たちが必ず逆転してみせる。」
同点、七回の裏の攻撃。先頭バッターは九番の友亀からだ。そうだ、苦しいのは芦毛先輩だけではない。相手の稲本投手だって疲れているはず。そこを狙っていけば…友亀でもヒットが打てる!
友亀「(先頭が俺か…まず一球様子見て…。)」
シューーーー
友亀「うわっ!」
バシーン ズテッ
ボールワン!
あぶない、ボールが内角の当たるかもしれないところに飛んできた。だけど…ミットの音が心なしか弱かった。もしかして…球の勢いがなくなってきているのか?
友亀「(今…ミットの音が違ったよな…。球の勢いが弱くなってきてるのか? そういえば心なしか球が遅く見えた。一打席目だったら確実に当たっていただろう。なら…ここがチャンスだ!)」
相手投手が振りかぶって投げる。
シューーー
友亀「(ここ!)」
ギィイイイイイン!
友亀「しゃああ!」
打球がライナー性でレフト線へと飛んでいく。
徳川「だぁああ!」
サードがジャンプするが届かずに後ろに抜けていく。後は切れないで!
ポーン フェア!
海鳳「友亀二つだ!」
ベンチから海鳳の大きな指示が聞こえてきた。そしてそれにつれて他の仲間たちもセカンドと叫んでいる。友亀は全力疾走でセカンドベースにまで向かっている。ようやくレフトが追いついたときはセカンドベースに到達していた。
友亀「しゃあああ!」
右手を上げてガッツポーズをとる。体で目一杯喜びを表現している。
スタンド「うおおおおお!!!」
スタンドの皆もそれに乗ってみんなで声を上げている。まだだ、私たちの流れが来ている。できるならここで突き放したい。そしてバッターボックスには卜部先輩が入ってきた。




