第八話 第三十部 チャンスを掴み取れ
ショートの送球がファーストの頭上を越える送球になってしまった。私たちに取ってはラッキーだ。後はファーストが逸らすかどうかだ。
能登「とどけっ。」
チッ
グローブの先に当たったボールは後ろにコロコロと転がっていった。勢いは殺さずにファーストファールゾーンのフェンスに届きそうだ。
池之宮「友亀! 二塁いけ!」
そういうと駆け抜けた友亀が全力疾走でセカンドベースに向かっていった。ライトが処理にいくが、滑らずに友亀がセカンドベースに到達。エラーでチャンスを掴みとった。
辻田「すまねえ!」
能登「落ち着いていこう!」
三宮「ツーアウトだよ! 一つをしっかりとっていこう!」
そういって相手チームは皆を落ち着かせるように指示をだす。しかし皆、動揺は隠せていない。一番顕著に現れているのはショートだ。こういうところからリズムが崩れていく。私たちにとっては大きなチャンスだ。そして一番に戻って卜部先輩だ。
卜部「(うーん、このチャンスどうやって掴むべきか。)」
卜部先輩はトントンとホームベースをバットで叩いて構えた。セットポジションに入った相手投手はセカンドランナーを少しだけ警戒しながら投げる。
シュゴーーー ズドーン!
ボールワン!
三宮「ランナー気にしなくていいぞ! バッターだけ集中で!」
キャッチャーの指示も大きな声に変わっていく。これ以上失点は許されない状況だ。そして次の球を投げる。
シュッ
稲本「しまった!」
ボールが高めに浮いてしまっている。チャンスだ、卜部先輩!
卜部「しゃあ!」
ギィイイイン!
鋭い打球がサード方向に飛んでいく。これは三遊間を抜ける!
徳川「らああああ!」
バシーン!
卜部「まじっ!?」




