表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドクターK少女  作者: レザレナ
第三話 紅白戦
21/835

第三話 第八部 亜弓の欠点

 これで七者連続三振。みんなのおかげもあるけれども、私の実力に自分自身が驚いている。私はまだまだ投げられるんだ。

 八番はサードの野中先輩。下位打線だからといって気を抜いてはいけない。思いっきり投げるだけ!

 シューーーズバーン! ストライクワン!!

 球の勢いは戻ってる。これなら大丈夫。私がしっかりと投げれば自然と空振ってくれる。


二・三年チームベンチ内

芦毛「すまねえ、一回当ててピッチャーの調子を崩したと思ったんだが。面目ない。」

栗山「しかたないっすよ。あのピッチャーは本物ですよ。」

芦毛「ちくしょう! 俺たちのやってきた練習は何だったんだよ!」

卜部「おい、おちつけよ…。」

栗山「黙ってられるかよ、卜部。お前は悔しくないのか!? 俺たちはここまで七人全員三振してるんだぞ! それに俺なんか一年生たちに三回で三本ヒット打たれて一失点、他の抑えたやつらだって当たりはよかった。俺は三年間一体何をしてきたんだよ! 春の甲子園の経験は何だったんだよ!」

卜部「たしかに俺だって悔しいさ。でも今年の一年生たちはすごいやつらばかりだ。」

芦毛「じゃあ俺たちは負けるってことか!?」

卜部「まだ負けたわけじゃないだろ! でもあいつの球をどうやって打つのか…。」

府中「俺が打つ。」

卜部「府中キャプテン、あの球を打てるのか?」

府中「俺はあいつの球は打てると信じてる。さっきの打席で分かったことがいくつかあった。」

中山「本当ですか!?」

府中「あいつの球が何故あんなに速いのか、スピードガンで調べたら140キロはでていた。普通なら俺たちは140キロの球なんかバッティング練習のマシーンで何度も体験している。今分かる限りでバッターボックスに入ったとき、140キロ以上に思える理由は二つある。一つはあのノビ。そしてもう一つは…、たしか栗山、さっき『投げたのか全く分からない。』といったよな。」

栗山「はい、そうっす。」

府中「球の出所がわからない。どうしていつ投げたか分からない現象に陥ってしまうのは、あいつは胸を張って腕を振ってるところで手が頭に隠れてしまうぐらいだ。あいつはとてつもなく腕が柔軟なんだ。そしてリリースポイントもかなり前だ。だからあそこまで速くなってしまう。」

芦毛「でもそれだと相手の良いところを言ってるだけじゃないか。」

 シューーーバシン! ストライクツゥ!

芦毛「ほら、野中だってタイミング合ってない。このままじゃ俺たち一点もとれねえぞ。」

府中「今のまま何も考えず打席に入れば一点も取れないだろうな。でも点を取る方法なら考えてある。」

芦毛「なに?」

府中「黒木、スコアブックを見せてくれないか?」

黒木「あいよ。」

府中「ありがとう。」

卜部「なんでスコアブックなんだ?」

府中「実は二回から日高の球速をスピードガンで計測して、その球速をスコアブックの余白に毎球書いてもらうように黒木に頼んでいた。よく見てみろ。」

卜部「これって…。」

中山「139キロ、140キロ、138キロ、139キロ…。」

芦毛「ほとんど球速変わらないじゃないか!」

府中「そうだ、いままでストレートしか投げていない。それならタイミングを合わせるだけだ。ノビのあるボールは当たれば飛ぶ。」

栗山「でもキャプテン、それだけでは日高の球を打とうにしても…。」

府中「だからタイミングは早めに取ればよい。一呼吸早くステップするんだ。それと、もし俺の勘が合っていればだが…。」

卜部「なんだ?」

府中「日高はもしかして全部全力で投げているのかもしれない。芦毛、お前だって全てが全力というわけではないだろ?」

芦毛「そうだ。」

府中「普通、全部全力で投げるものではない。しかもストレートのみで。日高はおそらく全力以外が投げれないのだと思う。」

卜部「となると…。」

中山「スタミナはそう持たないってことっすか?」

府中「そうだ。四・五回ぐらいでコントロールや球威が落ちてくるだろう。もしかするとフォームも崩れてきて打ちやすくなってくるだろう。」

芦毛「そこもねらい目ってことか。」

卜部「それならこっちにだって勝ち目はある。」

府中「そうだ。この回入れて、あと三回しかない。なんとしても打ち崩すんだ!」

中山「よっしゃああああ!」

芦毛「俺もこれ以上点を許すわけにはいかない。絶対抑えてやる。あとはキャプテン、リードたのむぜ。」

府中「おう、まかせろ。」



 シューーーーズバーン! ストライクバッターアウト!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ