第八話 第二十八部 ライナーホームラン
三宮「せ、センター!」
小島「また俺かよっ!」
センターに勢いよく打球がとんでいく。弾道は低いものの、バックスクリーンに向かって風を切る勢いだ。あの重い球を軽々とあそこまで飛ばせるというのか?
シューーー
小島「ぐっ!」
センターがジャンプする。グローブにとどきそうでもある。入って!
ズドーーーン!
バックスクリーンにボールが当たって鈍い音が聞こえてくる。やった、ホームランだ! そして逆転だ!
中山「しゃああ!」
中山先輩がガッツポーズを取る。私たちのチームのムードは最高潮だ。応援団も笑顔になっている。あ、橋風だ。心なしか少しだけ楽しんでいるようにも見える。やっぱり応援できるのは楽しいことなのだろう。
中山先輩がホームベースを踏んで2対3、逆転に成功した。
中山「しゃあ!」
芦毛「よくやった!」
ネクストバッターサークルに控えていた芦毛先輩と中山先輩がハイタッチする。固い友情で結ばれたハイタッチだ。先輩と後輩の壁を越えた仲だ。そして芦毛先輩がバッターボックスに入る。
芦毛「(ここまで仲間に恵まれたことは今まであっただろうか。いままでは自分の力だけで戦ってきたが今はそうじゃない。後ろには力強い仲間がいる。俺はそいつらに答えるために投げるという一つの道が出来た。そいつらのためにも俺は…!)」




