第八話 第二十五部 攻め倒すには…
池之宮がゆっくりとホームにかえってくる。しっかりとベースを踏んでホームイン、2対2の同点に追いついた。これぞ私たちの打線の強さというところを見せることができた。
池之宮「っしゃ。」
パチン。
池之宮は戻ってきて、皆からハイタッチの嵐にあっている。すごくうれしそうな笑顔だ。そしてムードはイケイケムードだ。そして五番の新天がバッターボックスに入る。新天はバッターボックスに入るとバットをクルクルと回してからバットを立てるように構える。落ち着いたバッティングフォームだ。見た目以外は本当に長距離砲の風格が見える。さて、どう打ってくるのか。
シュゴーーー ズドーン!
ストライクワン!
相手投手も同点だけでは崩れてこない。でもここで攻め立てればリズムを崩して大量点を取れるチャンスともなる。ここは駆け引きとの勝負だ。
グググッ バスン
ボールワン!
三宮「(ストレートや変化球の勢いは落ちてない。あいつは迷いを見せると球がばらつく。でもまだまだ大丈夫、立て直すチャンスはいくらでもある!)」
シューーー
ギィン!
バットに当てた。引っ張ったがやや打球に押されぎみのファールになった。さすがに池之宮でないとあの重い球をとばすのは至難なのだろう。
シュゴーーー
新天「(打てるけど!)」
ギィイイイン!
新天「(くそっ、勢いがない。)」
打球はセンター前にフワフワと上がった。高いフライのため、センターも余裕で追いつき、捕球体勢に入った。
小島「オーライオーライ。」
バシン アウト!!
センターがガッチリとキャッチしてスリーアウトチェンジになった。一回で両者とも二点を入れた。これは打撃戦になるのだろうか。それともこの後立て直して投手戦になるのか…。一度振り出しに戻った。ここからが勝負どころだ!
友亀「芦毛先輩。」
芦毛「ああ、わかってる。こっからが勝負どころだ。」
友亀「見た限り全ての球の切れは良いです。」
芦毛「そうか。実はな、全部全力で投げているように見せてるが、まだもう一段階ギアを残してあるんだ。」
友亀「まじっすか。さすがに…気づかなかったっす。」
芦毛「でもこの試合で使うつもりはない。今は一つ前のギアでどこまで戦えるかも含めて投げたいんだ。」
友亀「わかりました。でもくれぐれも今日の試合、勝たなきゃ意味がないので。頼みますよ。」
芦毛「ああ。」




