第八話 第二十三部 一点返してバックセカン
稲本「なっ!?」
三宮「センター、ライト! バックセカンだ! ホームは間に合わない!」
ライナー性の打球が右中間に飛んでいった。すぐさま卜部先輩はホームに向かって走っている。これは確実に一点返せる!
スタンド「ワアアアアアア!!!」
一気に歓声が沸きあがる。皆のムードが高ぶっていく。
卜部「よし府中! ナイスバッティング!」
余裕の表情で卜部先輩がホームを踏んだ。これで一点を返して2対1と一点差に変えた。そして府中先輩はセカンドに向かっていく。
石山「上原! カットなしだ! お前ならさせる!」
上原「らぁああああ!!」
シュゴーーー
ライトから矢のような送球がセカンドベースカバーに入ったショートへと飛んでいく。
バシーン!
辻田「アウト!!」
府中「セーフだ!」
アウトーー!!
審判はアウトと声をあげ腕を上げた。あと一歩が遅かった。
辻田「ナイスライト!」
上原「おっけ! ワンアウト!」
さすがに府中先輩でもあの送球には勝てなかったか。でもアレは相手が良すぎただけだ。まだワンアウト、しかも点も取っている。そして三番は海鳳だ。
海鳳「(一打席目は様子見で打ってみるか。次から球絞って振りぬく。)」
シューーーー ズドーン!
ストライクワン!
重いストレートがミットにおさまる。手がしびれるのではないだろうか。キャッチャーも捕るの大変そうだが、キャッチャーも体つきが良い。だからこそドッシリとしたストレートが投げれるのだろう。
シューーー バズーン!
ボールワン!
グググッ バシン!
ストライクツー!
ワンボールツーストライクとなって追い込まれた。ここまで一度もバットを振っていない。どういうことなのだろう。
海鳳「(球筋はわかった。後は打ってみて重さがどれだけあるかだ!)」
シュゴーーー
海鳳「この球!」
ガキィイイイン!
鈍い音と共に打球がレフト方向へと飛んでいった。これはレフトフライになりそうだ。定位置で守っていたレフトがそのまま捕った。
バシン! アウト!
三宮「よし、ツーアウト!」
これでツーアウトになってしまった。しかし海鳳はニヤニヤと笑っている。何があったのだろう。
海鳳「(なるほど…確かにこれは重いわ。ヒットまでが限界だが…池之宮、お前ならいつもより遠くに飛ばせるぞ!)」
そして四番の池之宮がバッターボックスに入った。




