第八話 第二十二部 先輩の反撃
日下部「いいか、初の先取点を取られたぞ。こういうときこそ落ち着いて、冷静に点を返していこう。大丈夫、お前たちの打力ならいける! ただ、気合は入れていけよ!」
皆「しゃあ!!」
卜部「府中。」
府中「なんだ?」
卜部「俺が足でかき回して相手のペースを乱す。後はお前が返してくれ。」
府中「わかったよ。」
アナウンサー『さぁ、二点取られてからの一回の裏。一番は三年生の卜部選手からです。』
飯島『しかし今日の稲本選手、ピッチングを見る限りよい球を投げていましたよ。調子はよさそうですね。』
相手投手は左投げのストレートで押すタイプだ。球こそ速くないけど持ち前の力強さで球に重みがある。さて、どうやってうちらは打つのだろう。
シュゴーーー ズドーン!
ストライクワン!
ミットの音が違う。明らかに重い球、そして調子が良いという証拠になる音だ。
シュゴーーー ズドーン!
ボールワン!
卜部「(俺の場合、普通に打とうとしたら球に押されるな。バントもしにくいとしたら…スイングをわざと遅くしてバントのようなバッティングで! 一か八かだ!)」
シュゴーーーー
ガキン!
あぁ、ボテボテのゴロ…かと思いきやサードが急いで前進してくる。
ダダダダダダッ
三宮「サード急げ! 足速いぞ、ファーストだ!」
徳川「ぐっ。」
ボールを掴んだ。しかし、明らかに送球しても間に合わない。
ダンッ
セーフ!
卜部「っしゃああ!」
やった! 足を上手く利用した打ち方だ!
パーパーパーパッパパッパパー(ヒットテーマ)
吹奏楽部と応援の声が聞こえ、優衣たちも映し出されている。みんな、とても嬉しそうな顔をしている。これでノーアウト一塁、次は二番のキャプテン府中先輩だ!
日下部「(ここは盗塁だ。慎重かつ積極的に、いけるならすぐにいけ。)」
卜部「(了解っす。)」
府中「(よし、頼むぞ。)」
卜部先輩がやや大きなリードを取る。ピッチャーも気にしている。足を上げた。
ランナーコーチャー「ゴォ!」
足が重なった瞬間、卜部先輩は走った。府中先輩がバントの構えをしているが、すぐにひく構えだ。
バシン! ストライクワン!
三宮「セカン!」
キャッチャーから送球されるが、もうすでに卜部先輩は到着していた。盗塁成功! チャンスが広がった。
府中「(よし。サインは…打てと。勢い強いから、その分こちらも力入れないとな。)」
府中先輩が集中力を高めている。次、打ちに行くのだろうか。
シュッ ググググッ
カーブだ! ここにきて変化球だ。
ギィイイイン!!!




