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ドクターK少女  作者: レザレナ
第一話 少女、全力投球
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第一話 第一部 雪の残る入学式

 桜が咲く季節なのに雪がまだ残っている。気温はそうでも無い気がするが雪が先日まで降っていたのは確か。しかも桜は蕾ばかり。私は新しい制服を自分の着やすい形に直しながらもそんなことをぼんやり考えながら歩いていた。私のイメージでは入学式は桜が満開ではないが咲いていて「あぁ、新しい制服を着て桜見ると入学式だという実感が湧くなぁ。」そんな気分になる。しかし、まるで嘘のようにイメージとはかけ離れていた。新しい制服を着ているだけで新鮮な気持ちにはなれるが、雪がまだ残っているのは見慣れない光景だけれども。

教室に入ると体育館に誘導され順番など関係なく椅子に座らされた。周りを目だけでちらちらと見渡してみたが私立なだけに知り合いらしき人は見当たらない。ここ最近は公立に入学する人が多くなっているので私立に入学すると知らない人ばかりになる。友達ができるか不安な気持ちがいっぱいになる。そんなことを考えている間に体育館が暗くなり入学式が始まった。

 最初に校長先生の話が始まった。正直なところ、校長先生の話は苦痛ではないけど退屈だ。座っている上級生は校長先生がどのくらいの時間話すのかを知っていて、聞き慣れているから短く感じるだろうが、私たちにとって初めての校長先生の話はたとえ時間が短くても長く感じる。また、今私は心身的な疲れもあって余計に長く感じる。「途中で寝ようかな……。」私は集中して聞こうと思ったけれども、疲れが来てところどころ何を言っていたのかさっぱりわからなくなってしまった。校長先生の話が終わる頃にはすでに頭から校長先生の話が頭の中からどこかへ抜けているようだった。

 入学式が終わるとクラス分けの書いてある場所まで誘導された。そこには自分のクラスが張り出されていた。私のクラスは1年A組だった。教室に入り周りを見渡す限りだと、知ってる人は誰一人居ない。また、これから友達を作るとして問題もある。知っている人同士や中学からの友達たちが一つのグループを作っているのでその中に入るのが大変だからだ。私はどこかのグループに入りたいが、いきなりグループの輪に入ろうとしても元々いた人たちの空気を乱してしまうのではないかと思うと勇気が出ない。一人でいる人に声をかけて仲良くしようとも考えた。周りを見る限りほとんどの人がグループで話して、一人でいる人は3人だ。私は勇気をだして自分の前に一人でいる女性に声をかけようとしたら、担任の先生らしき人が入ってきた。どうやら女性の先生らしい。

「はじめまして。私がこのクラスの担任をさせていただきます、四葉 春です。皆さんよろしく。」

 先生の挨拶が終えると拍手喝采が起こった。拍手がなり止むと先生が喋り始めた。自己紹介から始まり、校則の説明や時間割などを説明した。話を聴いて知ったことはこの先生はこの学校に入って2年目らしい。若い先生なので男子ははしゃいでる人もいた。可愛らしい顔を見せると先生は、

「はい、ではこれから皆さんに自己紹介をしてもらいます。では出席番号1番の人からお願いします。」

 周りがざわめいた。それもそのはずだ。いきなり自己紹介してくださいと言われても、何を話そうか考えるわけがないのだ。私だって何をいうかわからない。困るに決まっている。そんな状況の中、出席番号1番の人の自己紹介が始まった。

「東京都港区、赤坂中学校からきました、伊沢裕也いざわゆうやです!負けることが大嫌いです!よろしくお願いします!」

 しっかりとした自己紹介が出てきた。正直びっくりだ。いきなり自己紹介をしてくださいと言われてあそこまで言えるのはすごい。周りも大きな拍手だ。それに後押しされたのか、まるで時間が早く感じるかのようにあとの人たちも順調に自己紹介をしていった。

 前の人が終わると私の出番が回ってくる。「前の人が言い終わったら次は私の自己紹介だ。」心の中でつぶやいたが、正直何をいうか考えてない。学校生活をどう過ごしたいか?趣味を言うか?そう考えてるうちに前の人が大きな声で喋った。

「府中第一中学校からきました!羽葉由紀ばばゆきです!中学校ではソフトボールをやっていました!部活は野球部に入りたいと思います!よろしくお願いします!」

 ショートカットの女の子が自己紹介したとき、クラスはシンとなったが、その後大きな拍手がおこった。ソフトボール?野球?その言葉に私は反応した。女の子でも野球で話せる人が見つかったという喜びが心の中で溢れてきた。相手につられたのか、私も拍手した

「次の人、お願いします。」

「あ、はい。」

 先生に呼ばれたので思わず立ってしまった。成り行きで言ってしまえ。やけになった私は喋り始めた。

「草加市立松原中学校からきました、日高亜弓ひだかあゆみです。中学時代は野球部でピッチャーをやってました。よろしくお願いします。」

 やった!自己紹介を普通に言えた!周りも拍手してくれてる。周りも拍手してくれてる。正直嬉しい。失敗したらどうしようかと考えていた。少し笑顔になりながら席に座ると、

「ピッチャーやってるの?すごいね!」

 前のショートカットの女の子が話しかけてきた。


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