第八話 第十八部 強気のリードと余裕の表情。
アナウンサー『さて飯島さん。この試合のキーポイントは何処になるでしょうか。』
飯島『そうですね。おそらく乱打線になりそうな予感がしますね。お互いの打撃力の調子がキーポイントになりそうです。そしてもう一つは芦毛投手の調子ですかね。彼によってこの試合の流れが大きく変わっていくといっても過言ではありません。』
芦毛先輩がキーポイントなのか。でも爪が戻ってきた芦毛先輩なら問題ないはず。きっと良い球を投げてくれるはずだ。
芦毛「友亀。」
友亀「はい、なんでしょう。」
芦毛「なるべく強気なリードで頼む。今日の調子を探り出す感覚も良いが、押していきたい。相手に打たせるかという気持ちを見せ付けたいんだ。」
友亀「わかりました。」
友亀が戻っていく。そしてそろそろ試合開始だ。
プレイボール!
試合が始まった。先頭バッターは小島。特攻隊長でもあり、長打力もある。芦毛先輩がセットポジションを取る。足を上げて、踏み込んで投げた。
シュルルルルル!
バシーン!
ボールワン!
ああっ、惜しい。綺麗なスクリューでキレも良かったが、ギリギリ入らなかった。でも芦毛先輩の目には自信に満ち溢れている。先輩、頑張って!
バシーーン! ストライクワン!
アナウンサー『球は走っているようですね。』
飯島『しかし、要求しているコースからは少しだけずれていますね。』
テレビから見るとそれがすごくわかる。ミット一個分ぐらいという感じだろうか。爪が伸びてからあまり投球していなかったはず。そこのブランクがあるのだろうか。
シュゴーーー バシン!
ボールツウ!
シュルルルルル バシン!
ボールスリー!
芦毛「ちっ。」
ワンストライクスリーボールだ。なかなか強気に出てるピッチングだが、ストライクが入っていかない。難しいところだ。でも芦毛先輩はあきらめる様子なんか全く見せていない。
シューーーー
バシン! ボールファア!
小島「っしゃあ!」
上原「ナイス小島! 石山、球荒れてるからな! 良い球だけを絞っていけ!」
ファーボールだ。でも友亀も芦毛先輩はわかっていたかのような顔をしている。何か確認しているのだろうか…。球の感触だろうか。でも、この表情を見る限り…大丈夫そうだ。




