第八話 第五部 女性投手はまだいる。
あの後は食べ終えてすぐに由紀が帰ることになった。私に邪魔してはいけない気持ちと、勉強しなければという使命感に追われていた。私は監督から次の試合は家で休んでみてろ。といわれた。本当は行きたかったけれど監督曰く、テレビから見る視点も何か得られるものがある。とのことだった。ぜひとも頑張って欲しい。私は早く治してチームのために頑張らなければ。さらにいえば体力も落としてはいけない。次の投球に備えて軽い運動ぐらいはしておかなければ…。
次の日も学校の方から連絡が入って、大会を行っている人が多いから風邪をうつさないために家で休むように言われた。私は勉強をひたすら続けた。今頃皆はどうしてるだろうか。野球の練習、早くやりたいなぁ…。
私はある程度勉強を進めると、テレビの電源を入れた。
亜弓「あっ、試合。」
チャンネルは千葉のテレビだ。そして良く見ると女性が投げている。もしかして遠江さんだろうか。
シュルルルル
ズバーーーン!
ストライクバッターアウト!!
亜弓「うわ、すっごいキレのある変化球。」
どこかの刃物と同じような切れ味のナックルカーブを投げていた。アレだけ曲がりがすごいと当てるのなんてよほどの選手じゃない限り難しそうだ。…まって、由紀って当てられるのだろうか。果たしてヒットを打てるのだろうか。いやいや、由紀ならきっと打ってくれる。あんなすごいバッターに打たれない投手なんているわけない。
ズバーン!
ストラクバッターアウト!
でも…本当にそうだろうか。これだけすごい投手も世の中にはいる。由紀は…勝てるのだろうか。私も打たれずにすむ…わけないか。この前の試合でスタミナが少ないという欠点をさらしてしまったし…。そのためには練習しなきゃ。
ピッ
ワーーーワーー!
テレビのチャンネルを変えると別のところが試合をしていた。




