第八話 第二部 差し入れ、持ってきたよ。
時刻は…午後六時。ゆっくり寝たおかげで少々体調も良くなってきた。しかし、テスト1週間前だというのに熱を出してしまった。本番は大丈夫だろうか…。
ピンポーン
あ、お客さんかな…。お母さんは買い物に出かけてるし。私は起き上がってベランダに少々ふらついた足取りで向かった。
亜弓「はーい。」
ガチャ
由紀「おっす。」
亜弓「由紀!?」
そこには私服の由紀がいた。そして両腕の大きな袋をあげた。
由紀「差し入れ、持って来たぜ。体調大丈夫か?」
亜弓「なんとかね…。」
由紀「そうか。差し入れ部屋まで持っていくから、案内お願い。」
亜弓「わかった。」
由紀「おじゃましまーす。」
由紀が部屋に入っていった。階段を上り、私の部屋に入れた。
由紀「良い部屋だなぁ。」
亜弓「ずっとここにいると風邪、移っちゃうよ。」
由紀「大丈夫大丈夫、私風邪ひかないから。」
亜弓「怖いなぁ、その発言。」
そういって由紀は袋を床にガサッと置いた。
由紀「体力つけるために良い食べ物を買ってきてあげたからね。それと…はい、これ今日の埼玉新聞。」
亜弓「あ、ありがと…。でもなんで新聞が?」
由紀「ふっふーん。5ページ目を見てごらん。」
私は不思議に思いながらページをめくっていった。そこには…。
亜弓「私だ…私のことが書かれてる!」
嘘かどうかもう一度見ると、確かに私の写真と名前が載っていた。『日高亜弓! 17奪三振! 大物登場か!?』
由紀「いいね~。あっ、ちなみに私のことも書いてあるよ。」
亜弓「し、新聞に載るなんて…初めてだ。」
私はあまりの嬉しさに風邪が吹き飛んでしまいそうなぐらい元気が沸いてきた。そして由紀のことも書いてある。
由紀「努力の結果が…実ったな。」
亜弓「…うん。ねぇ、由紀。」
由紀「何?」
亜弓「ありがとう。」
私は心の奥底から感謝の気持ちを伝えた。
今回の挿絵はだ~じりん。さんに描いていただきました!ありがとうございます!
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