第七話 第三十六部 不意をつく作戦。
海鳳「わお、アイツあんな球持っているのか。」
すごいスローカーブだった。高い位置から勢いよく曲がってくる。わかっていてもそう簡単に打てるような球ではない。しかも不運なことに池之宮は変化球が苦手なはずだ。特に緩急をつけるような球に関しては…まずい。
ググググッ ブン!!
バスン
ストライクツー!
池之宮「(あたらねぇ…)」
高野「(これで抑えられる。)」
由紀「(いいなー、私が打ちたかったのに。)」
これでツーアウト。追い込まれている。キャッチャーとのサインにすぐにうなずいた。おそらくスローカーブで間違いないだろう。
日下部「(奇襲だ。)」
由紀「(了解です! 一か八か、勝負!)」
高野が大きく足を上げた。
ダダッ
海鳳「んな!?」
亜弓「ええっ!?」
由紀「(よっしゃ!)」
高野「(嘘だろ!?)」
由紀がピッチャーの足が上がると同時に走り始めた。しかも高野は足をサードの方に向けられず、投げることしかできなかった。まさかツーアウトスクイズ!?
ズボッ
高野「(スローカーブの握りだからこれしかできねぇ!)」
しかもスローカーブを投げた! これはホームに帰れそう! しかしバントの構えを全くしていない池之宮がそこにいた。
千恵美「あっ、バカッ! なにやってるの!」
恵美「まさかそうするとは。」
しかもあいにくボールはストライクゾーンに入りそう。池之宮、打って!
池之宮「うらあああああああああ!」
ギィイイン! バシン!
ストライクバッターアウト!
由紀「うそーーーん!!!」
さ、ファールチップの空振り三振…。まさかの作戦が…失敗してしまった。




