第七話 第二十八部 今やれるべきこと。
私はゆっくりとバッターボックスに入った。ツーアウトランナー無し。気楽に打てる状況ではあるけれど、これは本番の大会。気を引き締めていかなければ。でもそうすると力が入りすぎてしまう…あーもうどうすれば。
シューーーーズバーン
ストライクワン!
そんなことを考えている間にもボールは放られていた。落ち着こう。深呼吸をして…ゆっくりと。
シューーー
ギィイイン!
詰まった! でも面白いところに打球が転がっている。打球を見ながら走るがショートがランニングキャッチをしてそのままスローイングした。全力で走れば間に合…
バシン! アウト!
間に合わなかった。相手の守備の方が勝っていた。これでスリーアウトチェンジになった。
私はゆっくりとベンチに戻っていくと由紀がグローブを持って待っていた。
由紀「惜しかったね! でもピッチングでは圧倒的に勝ってるよ!」
亜弓「ありがとう。」
由紀「スタミナがもし切れそうなときでも思いっきり投げてね。私たちが打たれても守るし、点も届かないぐらい取ってあげるから。」
亜弓「うん、由紀も思いっきり打ってね! 私が抑えてあげるから!」
由紀「言うようになったね、亜弓!」
そういって由紀は走って守備位置に移動していった。スタミナか…友亀には私のピッチングとペース配分、残り体力はどのように見えているのだろうか。でも私はいけるところまで全力で投げて抑えるだけ。五回…絶対に打たせてたまるものか!
先頭は四番の石井だ。要注意バッターの一人だ。攻めるべきコースは…インコースにストレート!
シュゴオオオオ!
ブン ズバーーン!
すとらいくわん!
タイミングが少しずつ合ってきた。さすが強豪校なだけある。でも私だって負けられない。次は…低めにカーブを!
ぐぐぐっ
石井「ふん!」
ギィン!
振りに行った! 流した打球はファーストの頭を少し超えるファールボールになった。変化球を狙っている。おそらく変化球が来るまでストレートを当ててファールボールで待つ作戦なんだろう。友亀も同じようなことを考えていて全力ストレートをアウトローに指示した。私は体全体を使って投げた。
亜弓「っし。」
シュゴオオオオオオオオオオ!
ズバーーーーーン!
ストライクバッターアウト!
石井「(こ、このコースは手がでねぇ。)」
亜弓「うっし!」
また三振。これで十三者連続奪三振を記録した。




