第七話 第二十四部 成長の実感
回は四回の表に入った。打者は一巡して一番の古川からだ。またあの人だ。この人だけには絶対にヒットを打たれたくない。そんな気持ちが私を後押ししてくれている。思いっきり投げて抑えてみせる!
古川「(絶対打ってやる!)」
友亀「(攻め方変えるぞ。初球変化球だ。)」
サインはチェンジアップだ。低め、ボールになるところでも問題なし!
シュッ
古川「ぐっ」
ギィイン!
当てた。しかしボテボテのファーストのファールゴロ。引っ張りすぎていてタイミングが一とたりとも合っていない。これなら問題なさそうだ。そして次はストレートのサイン。これで惑わしてみせる!
シュゴオオオオオオ!
ズバアアアアン!ブン!
ストライクツウ!
ミットの音が聞こえてから振っている。明らかにタイミングを見失っている。相手の顔色をみるだけでもわかる。これなら余裕に三振がとれそうだ。でも…全力で抑えなきゃ意味がない!
シュゴオオオオオ
ズバーーーーン!
古川「(ボールだ!)」
ストライクバッターアウト!
古川「(えっ!?)」
友亀「(ナイスピッチング!)」
亜弓「っし。」
卜部「どこまで三振とれるか楽しみだな!」
古川「ちくしょう!」
相手のバッターは悔しそうに俺をにらみながらベンチに戻っていった。ざまあみろと心の中で思いながらすぐに次の打者のことを考えた。
次は二番バッターの箕島だ。勢いを止めずに最後まで投げきって見せる!
シュゴオオオオオオオオ
ズバーーン!
ストライクワン!
なんだろう、中盤になるにつれて腕が振れている気がする。いままでの気持ちを吹き飛ばしたかのようにすがすがしい。もう一歩レベルアップできたのだろうか。それならそれで嬉しい。だったら自分の力を最大限まで使って!
シューーーー
ブン ズバーーン!
ストライクツウ!
気持ちが良い。ここまでスカッとした気分は初めてだ。私はまた大きく振りかぶる。足をあげ、一度体の力を抜いてから踏み込み、全身を使って投げるように!
シュゴオオオオオオ!
ズバーーーン!ブン! ピッ143キロ
ストライクバッターアウト!
亜弓「しゃああ!」
私は思わずガッツポーズをとった。




