第七話 第二十三部 速過ぎた打球
海鳳「っしゃああ!」
海鳳が吼えた。力強い声だ。海鳳のこの力がチームの原動力にもなる。海鳳が一緒の学校で本当によかった。そして次は池之宮だ。
池之宮「(サイン…ヒットエンドランか。あんまり得意じゃないが、やるか。)」
海鳳「(全力で走って上手くいけばホームにいける。)」
池之宮がヘルメットのつばを握る。サイン確認の合図だ。さて、ここからどうやって攻めていくのだろう。池之宮が構える。ピッチャーはかなりランナーを警戒している。
シュッ パシン!
セーフ!
牽制だ。見る限り、牽制はとても上手そうだ。無駄が無くて綺麗だ。ただ、その分クイックが遅くなってしまうクセがある。そこをついて…。
シュッ
黒木「走った!」
ダダダダッ
海鳳が全力疾走でセカンドベースに向かって走った。
池之宮「甘い球!」
ガキィイイイイイン!!!
ものすごい勢いで打球が飛んでいった。ショートの顔をかすめて左中間に抜けていった。ショートは「えっ。」と信じられない表情をして振り返った。打球は弾丸ライナーのままフェンスに届きそうだ。もしかすると入ってしまうのでは?
池之宮「海鳳! ホームまで走れ!」
池之宮が叫ぶ。入らないのだろうか。
バゴオオオン!
フェア!
フェンスに当たった打球はものすごい勢いで跳ね返った。海鳳はサードベースを蹴ろうとした。
佐藤「センター! バックホームだ! 中継高橋!」
高橋「こっちだ!」
箕島「たのんだぞ! っらああ!」
センターから返球が帰ってくる。そして海鳳がサードベースを蹴った。
府中「外だ! 外に回りこめ!」
中継のショートにわたってバックホームが帰ってくる。海鳳は一生懸命走っている。タイミングはきわどそうだ!
バシン! ズザザア!
佐藤「アウトォ!」
審判の判定は…。
アウトーー!
アウトだった。すこしタッチが早かったか。…って!?
石井「セカンド投げろ! 飛び出している!」
それに気づいたキャッチャーは急いでセカンドベースに投げる。池之宮が大きく飛び出してしまった! 案の定足も遅い。急いで戻ろうとするが…。
アウト!!!
佐藤「しゃぁあああ!」
星田「ナイス! 助かったぜ!」
だ、ダブルプレーになってしまった。でもこの回で3点を取ることができた。後は…私が守り抜くだけだ!




