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ドクターK少女  作者: レザレナ
第七話 怒りの初先発 対埼玉明治
143/835

第七話 第二十部 キャプテンの意地

府中「羽葉。」

由紀「はいっ。」

府中「俺が打てなかったら後ろは任せたぞ。俺は勝負しにいく。」

由紀「まかせてください。その前に…ホームラン頼みます!」

府中「まかせろ!」

 府中先輩がバッティンググローブを調節しながらバッターボックスに入っていく。何か他の人にはない雰囲気がピリピリと漂ってくる。私が投手だったらどう感じるだろう。きっと気迫で押し寄せられそう。本当に味方でよかった。心強い先輩、そしてキャプテンである。

府中「(あいにく俺は粘って打つタイプではないのでね。けりをつけさせてもらうぜ。)」

星田「(ここは初球から勝負だ)」

 ピッチャーがセットポジションに入る。セカンドランナーには俊足の卜部先輩。外野の良い位置に飛べばホームまで帰って来れそうだ。

 シュゴオオオオオ!

 バシーーン!

府中「(初球から勝負してきたか。)」

 は、速い。明らかに勝負を仕掛けてきた。ここで流れを止めるつもりだ。頑張って、府中先輩!

 シュゴオオオ

 ギィン! ガシャン

 ファールボール!

 ストレートを二球立て続けに投げて追い込まれた。キャッチャーは外に構える。一球そとにはずすかな?

 シュゴオオオオ ズバーーーン

 ボールワン!

 あっぶない。ギリギリのコースをついてきた。けど府中先輩はピクリとも動かなかった。ボールが見えている証拠だ。

 今度は…高めに構えている。釣り球かな。

 シュゴオオオオオ ズバーーン

 ボールツウ! ツーエンドツー!

 これでツーストライクツーボール。平行カウントになった。ここから勝負をかけてくるだろう。先輩、頼みます!

 ランナーとバッターがサインを確認するとどっしりと府中先輩は構えた。相手ピッチャーもプレッシャーを目一杯打者とランナーにかけている。ピッチャーが足をあげる。

伊沢「ゴー!」

 ダッ!

 卜部先輩が走った。これは…ヒットエンドラン!

 シュッ ググググッ

 しかもストライクゾーンに入るカーブだ! サードはセーフになりそう。そして打てば帰れる! 府中先輩!

府中「ふん!」

 キィイイイイン!

 一呼吸ためて打った打球は左中間方向に綺麗な弾道で飛んでいく。これは余裕で帰れそうだ。

佐藤「センターレフトバックバック!」

星田「おいおい、うそだろ。」

箕島「打球が伸びる!」

 打球がグングンと伸びていく。風は無風だ。このままはいって!

 ゴーーン!

 グルッ グルッ

 わああああああああああああああああああああああああ

 やった! バックスクリーン左横にホームランだ! 入ったと同時に府中先輩がガッツポーズをした。

府中「っしゃあああああああああ!!!」


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