第七話 第十五部 怒りは力を呼び覚ます。
米倉はファーストベースに到達すると、ガッツポーズをとった。守備だけでなく打撃でも見せてくれた。次は八番の友亀。私も次はバッターだから準備をしなければ。私はヘルメットを探した。
キィイイン!
あっ、その前に打った。急いで準備を…だけどサードが綺麗に捕球し、ファーストに送球した。
バシン! アウト!
こんな守備に弱点なんて本当にあるのだろうか。私が見た限りでは全く攻められる場所はなさそうに思える。私は打たれないように投げることを優先させなければ…。よし、打たせてたまるものか!
横山「あいつ、生意気なほど良い球投げてるじゃねえか。」
岡本「くそっ、気にくわねぇ。」
横山「あんなに速い球は俺たちも一度しかない…そうだ。」
岡本「あいつに全力を投げさせないようにすれば良いんだ。」
横山「ヤジ…とばすか?」
岡本「遠まわしの表現なら問題ないだろ。あいつならすぐにガタつく。」
横山「俺は直接言ったほうが効果的だと思うぜ。」
岡本「よっしゃ。」
ここまで連続三振が続いている。三回、ここも三振で切り抜けていこう。次は…七番の佐藤だ。下位打線だからといって油断はできない。いつも考えていることだけれども下位からの猛攻が一番怖い。だからここは攻めていかなければ。
横山「へいへいピッチャー、味方がエラーしてくれるぜ!」
岡本「そんな球すぐに打たれるよ!」
あの人たちは私が今までの私だと思っているみたい。けどそんなに弱くない。私は強くなった。身体的にも精神的にも。そんな人たちに…負けてたまるか!
シュゴオオオオオオオ!
ズバアアーン!
ストライクワン!
ピッ 141キロ
おおおおおおおおおおお!
相手スタンドは無言になって、私たちのスタンドから声援が聞こえてくる。こうなってしまえば球場の視線や声援はこっちのものだ。絶対に抑えてみせる!
岡本「さっきより…。」
横山「速くなった…?」




