第七話 第十四部 クセ球と弱点
池之宮の打球はセンターへと飛んでいった。しかしこれまた上げすぎ、しっかりと落下地点についたセンターはしっかりと構えた。
バシン アウト!
池之宮まで凡退。これは簡単に打てなさそうだ。でも由紀ならきっと打ってくれる。そこまでランナーがたまっていれば…。でも次は六番、新天。彼ならきっと打ってくれるはず。
池之宮「海鳳、あいつちょっとクセ球っぽくないか?」
海鳳「だよな。ストレートが微妙に落ちているというか…。」
クセ球? なんだろう。ストレートとはちょっと違うのだろうか…。
亜弓「その…クセ球って?」
私は気になって由紀に聞いた。
由紀「そうね。手元で少し曲がるの。ストレートって綺麗なバックスピンからノビのある綺麗なストレートが投げれるって言うよね。でもあの投手みたいなのはストレートじゃないのよ。」
亜弓「ストレートじゃない?」
由紀「直球とも言いがたいね。特殊な球だよ。まっすぐの回転ではなく、少し斜めな感じだったりすると不規則な球になるのよ。だからクセ球というべきかな。」
ガキィ!
池之宮「あっ、新天も打ち損じた。」
これはかなり苦戦しそうかもしれない。でもどこか弱点があるはずだ。どんなところが…。
由紀「私としては…弱点は球が軽いと思うところかな。」
亜弓「えっ?」
海鳳「それは俺も思った。当てたときにいつもより遠くに飛ぶ感覚があったな。」
由紀「ミートに徹することを意識すればおのずと点は入ってくるよ。」
海鳳「そして守備のミスを伺うってことだな。」
キィイイン!
あっ、七番の米倉が良い当たりだ。これはさすがにとれない。センター前に抜けてヒットだ!
海鳳「ほらな、あいつでもあんな強い当たりが打てるんだ。」
私は自分でも点を取りたくなってきた。




