第七話 第十三部 私たちの突破口
海鳳「ナイスピッチング!」
由紀「よかったよ!」
もどるとまた皆がハイタッチを要求してきた。やっぱり何度やってもこれは気持ちが良い。後は味方が点を取ってくれれば私が抑えてみせる。
由紀「はい亜弓、スポーツドリンク。」
亜弓「ありがとう。」
私は由紀から受け取った冷たいスポーツドリンクを飲んだ。この暑さにこの冷たい飲み物は気分が良い。乾いた喉を潤してくれる。私は飲み干すと由紀の手を握った。
由紀「な、なに?」
亜弓「私、しっかり投げれてる? 迷いとか見えてない?」
由紀はいきなりの話に頭に?マークが見えるようなしぐさをしたが、すぐに分かってくれて、
由紀「うん。自信たっぷりだよ。」
と答えてくれた。私はニコッと笑顔を見せてコップをしまいにいった。しまった後、もう一度由紀の方を見ると、由紀の近くには海鳳も立っていた。ちょっと聞きたいこともあるし、聞いてみよう。
五番、ファースト、池之宮くん。
スタンド「池之宮ああああああああああああ! 打てええええええええええええ!」
うわっ、すごい応援。あれだけ期待されているバッターはこれだけ声援をもらえる。羨ましい。
亜弓「ねえ由紀、海鳳。」
由紀「なに?」
海鳳「なんかあったか?」
亜弓「皆は…あの投手を打ち崩せそう?」
私がそういうと悩むように由紀が答えた。
由紀「そうね…変化球のキレは申し分なさそうだね。それに球種は多いと聞くし。」
海鳳「埼玉県屈指の投手だからな。そう簡単に打ち崩せそうはないよ。」
亜弓「そっか…。」
由紀「守備に徹しているチームだから一点が遠く感じる…かもしれないけど!」
海鳳「それが弱点だ。一度崩した守備には乱れが大きく出てくる。ミスも連発していく。そこからたたみこんでいけば問題ないさ。」
亜弓「それまでは…絶対に点は取らせないから。」
キィイイイイイイイイイイン!!
由紀「良い当たり! だけど…。」
海鳳「上げすぎ…だな。」




