第七話 第六部 ハイテンポ
先頭バッターを空振り三振。幸先の良い出だしだ。でも油断してはいけない。相手はどんなに嫌な選手がいようと甲子園にも出れる強豪校だ。ここで抑えられなきゃ、甲子園で活躍なんて、それ以前に地区大会で活躍できるわけがない。私のためにやればチームのためにもなる。
古川「くそっ! 何だアレは!」
石井「おいおい、どうしたんだよ。」
古川「信じられないっす! なんというか…言葉で表せないような。」
森「そうだろうな。」
古川「何がだよ。」
森「いや、俺にも説明が難しい。でも表現ならなんとなく伝わるぜ。」
ズバーーーーン!
ストライクワン!
箕島「(はぁ!?)」
友亀「(よっしゃ、埼玉明治にも日高の球は通用する! これは大きい!)」
亜弓「ふしゅー。(こんなに上手くいくなんて…。)」
私はテンポよく投げる。今はストレートのサインしか出されていない。だからあまりリズムを崩さずに投げることができる。私の球は分かっていたってなかなか打たれないんだ!
シュゴオオオオオ
ブン バシイイイイイイイイイン!!
ストライクツゥ!
箕島「(振り遅れ!?)」
全くタイミングが合っていない。それにバットの位置でさえあわない。やっぱり今日は調子が良い。構えたところに全部投げれる!
シュウウウウウウウウ
ブシィ ズバーーーーン!
ストライクバッターアウト!
友亀「っしゃああー!」
府中「ナイピッチー!」
由紀「亜弓ー! いいよ!」
スタンド「ナイスピッチング!」
皆から褒められている。ちょっと照れるけどこんな声援が力になる。なんて心強い味方がたくさんいるんだろう。
次は三番の投手、星田だったはず。相手は全員年上だ。でも打たせてたまるものか!
シュゴオオオオオオオ
ブン バシーーーーン!!
ストライクワン!
星田「(こりゃやべぇ。)」
初球から振ってきた。でもまだまだ初回から打たれるわけにはいかない。力でねじ伏せる!
シューーーーーー
ブウン! バシーーン!
ストライクツウ!
友亀「(なんて良い球投げるんだ。いつも受けている球よりはるかに良い。出来は最高だ! でも…これだけすごいと…。)」
バシーーーン!
ストライクバッターアウト!
亜弓「しゃあ!」
友亀「ナイス!! (スタミナが持ってくれればの話だが…。)」




