第六話 第十四部 打線に火がついてしまえば
海鳳「よっしゃ、次はヒットに徹底するぜ。」
海鳳がバットを持っていく。ん? 一打席目は右打席に入ったはずなのに審判の後ろを通っていく。これは…左打ち? 両打ちは試合中にもコツコツ変えていくのだろうか。相手チームは「どういうこと?」というような顔をしている。それもそうだろう。しかもこの左打ちは…。
キィィィン!
とにかくヒット性の当たりがよく出る。それが試合でも発揮されていた。打球はライトの頭を超えた。しかし当たりが良すぎではないか。フェンスに当たり、綺麗にライトに帰って来た。しかし海鳳は速度を落とさず、セカンドに全力疾走していった。
田崎「ライト! 中継に投げてセカンドで刺すんだ!」
千田「こっちだ!」
戸田「うりゃ!」
送球が帰ってくるが海鳳も速い。セカンドが捕球してセカンドベースにいるショートに投げたがそのころに海鳳はセカンドベースに到達していた。さすがというべきだろう。そしてここで迎えるのが池之宮だ。
オーオオオー(オリジナル)
スタンドからタオルとメガホンをまわして応援している。チャンステーマだ。この曲を聴くと流れが持っていけそうな気がする。池之宮もきっと打ちやすい気分になるだろう。
加島「(こいつは敬遠すべきか…勝負しに行くべきか…。)」
田崎「(こんなめったに戦えないような選手とやっているんだ。逃げてたまるかよ。)」
私は池之宮が敬遠されるのではないかと思ったけれど、キャッチャーは座ったままだ。あの田崎さんという選手は負けていても試合を楽しんでいる顔をしている。ある意味羨ましい。野球を楽しむということをもっと最初から感じることができていれば…。
池之宮からものすごいプレッシャーを感じる。この人にしかない威圧感というか。これも府中先輩とは全くちがったような。
シュッ パシン
ボールワン!
大きく外れた。こんだけプレッシャーが与えられたら力が入らなくなって、手も震えてくるだろう。
シュッ トッパスッ
ボールツウ!
それにこの身長。まだまだ成長しているみたいで、もしかすると一年生の間に190はいってしまうのではないだろうか。これだけでかいとさらに威圧感がます。そして体つきもすごい筋肉質だ。
シュッ
お、これは良いところに投げた。
池之宮「ふん!」
ガキィイイイン!!
ね、根っこで当てた。しかしものすごく打球が伸びていく。グングン伸びていって…。
ポーン
池之宮「しゃああああ!」
力だけでスタンドまでもっていった。なんというパワーだ。しかし根っこで当てたから手はすごいしびれてそうだ。池之宮も腕をフリフリと振っている。あんだけものすごいスイングで当てたら芯をはずしても持っていきそうだ。でも上っ面とかだったらフライにしかならなそうだけれども。




