第六話 第八部 けっこうあっさり
プレイボール!
ついに試合が始まった。こっちは後攻なので相手からの攻撃だ。芦毛先輩、頑張って!
シュゴーバシーン! ストライクワンア!
「おぉー!」
スタンドから歓声が沸く。それもそのはず、初球のストレートは140キロだった。球は走っているみたいだ。
ドンドンドン ドンドンドン かっせーかっせー三木!
相手スタンドの方から応援が聞こえ始めた。これを聞くと本当に大会が始まったんだなって実感が沸く。
バシーン! ストライクバッターアウト!
早い! すぐに三振をとった。さすが芦毛先輩だ。さらに芦毛先輩が淡々と投げていく…。
ストライクバッターアウト!
ストライクバッターアウト! チェンジ!
早っ! もう一回の守備が終わってしまった。三者連続三振。よく大会が始まっても緊張が無く投げることができる。それがどれだけ難しいことか。やっぱり先輩はすごいと実感できた。それにしてもあまりにもあっさりすぎる。やっぱりこのチームは強いのかも。本当に甲子園に出れる…いや、甲子園で優勝できるかもしれない!
卜部「そんなわけでいってきますわ。」
府中「自分の仕事を果たすというよりは、今回は思いっきり打ってこい。」
卜部「りょーかい。」
日下部「今日の試合はお前たちに任せたぞ。」
皆「はいっ!」
バシン
ピッチング練習を私たちはじっと眺めている。いつもより球が遅い。逆に言えば遅くてタイミングが合わない。そんなことが無いように打たなければならないということだ。
一番の卜部先輩が左バッターボックスに入る。トントンとベースにバットでつつくとゆっくりと構えた。
優衣「いっくよーーーー!!」
野球部員「しゃああああ!」
パーパーパーパパパーパーパー、パパパーパーパーパパパーパー(BGM夏祭り)
私たちのスタンドから応援が始まる。最初の出だしで蓮沼先輩と橋風が二人でトランペットで吹いている。ものすごく響きがよい。さすがというべきだろうか、すばらしい。そして先頭では優衣たちが踊っている。こんなに支えがあればきっと打撃人も気合が入るはずだ。
シュッ パシン
ストライクワン!
低めに遅い球が決まった。でも卜部先輩は球がしっかり見えているようだった。もう一度同じ動作を繰り返す。
シュッ
キィーーーン!




