初めて空を飛びました!
つまり、魔術をイメージすればいいんだ。
部屋で小さな魔術は使ったことがあるから、今日はちょっと大きな魔術を使ってみよう。
えーっと部屋で使ったとき、僕と相性がよかった属性は水と風だったかな。他の属性も使えないわけじゃなかったけど、使ったときの感じが少しちがった気がする。
ちなみに上位属性はつかえるかわからない。上位属性のことが本にはほとんど書いてなくてイメージが出来ないんだ。
どんな魔術を使ってみようか。
僕は魔術書を見ながら考える。
やっぱり使うなら相性がいい属性のほうがいいと思う。
そうだ! 空を飛んでみよう。
空を飛ぶなら風属性だな。
そうと決まればすぐにやってみよう。
まずはイメージだ。
空を飛ぶには、風を自分の周りに作ってその風に乗ればいいかな。
でもちょっとした風を作るとは違う。僕を浮かせられるくらいの風を作らなきゃいけない。
小さな風なら起こせたけど、そんな大きな風を起こせるだろうか。
僕はちょっとドキドキしながら魔術を使う。
イメージするのは大きな風。
僕は目を閉じて、イメージする。
そのイメージに魔力を流す。
すると軽く力が抜ける感じと、体が軽くなった感じがした。
僕は目を開けて恐る恐る下を見ると、僕の足は地面についていなかった。
少しだが地面から足が離れ、浮いていた。
「空・・・飛んでる・・・」
驚きとうれしさで、言葉が出てこない。
少し間をおいて、
「・・・った、やったぁああああ! 僕、僕空飛んでる!! って、わわっ・・・いたっ」
飛べたのがうれしくて喜んでたら、集中が切れたみたいだ。お尻から落ちちゃった・・・。
僕はお尻をさすりながら立ち上がる。
本当にうれしい、魔術を使えたことがすごくうれしい。
他にもいろいろ試してみよう!
僕はそのあと疲れるまで、魔術を使った。
水柱を作って、竜巻をだし、火球、岩石を作り出した。
やっぱり僕と相性がいいのは、水と風だ。
火と土は使えるには使えるが、魔力を使う感じは全然違う。
休憩ついでに遅めのお昼を食べる。
もうパンは冷め切っているが、冷めていてもサキさんが作ったパンはおいしかった。
そうだ! 帰る前に複合魔術を試してみよう。
そんなに魔力は残ってないから、小さい氷を作ってみる。
氷は、水と土の複合だったはずだ。
水との相性はいいけど、土との相性はそんなに良くない。ちゃんとできるだろうか。
とりあえずやってみよう。
僕は目を閉じて手のひらに氷をイメージする。
するとさっきよりも少しおおく魔力が使われる感じがした。
次の瞬間手のひらに冷たい感触がした。
目を開けると手のひらにはちゃんと氷が乗っていた。
でも氷のかけらのようなすごく小さいものだった。
やっぱり土と相性が良くなかったからなのかな。
そう思ってもう一度やってみるが、今度は何も出なかった。
他にも試してみるが、何も起こらない。
どうやら魔力切れのようだ。
「今日はこれで終わりかぁ」
僕はそう一人つぶやいて、家に帰った。