森へ行く準備
「そうだクーリア、今日は誕生日だったね」
ご飯を食べ終わったお父様が声をかけてきた。
「なら、今日帰ってくるときにプレゼントを買ってこよう。楽しみにしててね」
「本当ですかお父様!」
そういって、立ち上がりながらお父様は僕の頭を撫でてくれた。
お父様に撫でられるのは好きだ。
すっごくうれしい気持ちになるんだもん。
そして僕のおでこにキスをして、お母様のところに行く。
「じゃあ、僕はそろそろ仕事に行くよ」
と、いってお母様と抱き合ってキスをする。
朝お父様が仕事に行くときにいつもしている日課だ。
二人は仲がいいと思う。
仲がいいのはいいことだよね。
「どうぞ、旦那様」
「ありがとう、サキさん。じゃあ行ってくるよ」
お父様はエアルにもおでこにキスをしてから、サキさんにカバンをもらって食堂を出て行く。
お父様は朝仕事に行ってから、夕方まで帰ってこない。
どんな仕事をしてるんだろう。
ちょっと気になる。
聞けば教えてくれるかな?
みんなごはんを食べ終わったので、サキさんが片づけを始める。
ちなみに一番時間がかかったのがエアルだ。
ついさっき食べ終わったばかりで、今お母様に口をふいてもらっている。
エアルの口をふいてから、お母様片づけを手伝う。
うちのの仕事はお母様とサキさんが二人でやっている。
サキさんは最初お母様が家事をやることをとめていたけどお母様は、
「まぁまぁ、気にしないで一緒にやりましょう」
と、いって聞く耳持たなかったらしい。
そしてサキさんは諦めて一緒に家事をやっているわけだ。
それはさておき。
「お母様! 朝ごはん食べ終わったので裏の森に言ってきていいですか!」
僕は片づけが終わってのんびりしているお母様に、もう少しも待てないとばかりに聞く。
「んーそうねー。約束したものねぇ。わかったわ、森にいってもいいわよ。ただあんまり奥に行ったり川に近づいちゃダメよ?」
「わかりました、お母様」
やった!
やっと森に行くことができる。
これでもっと大きな魔術の練習が出来るぞ!
よし、そうと決まったら部屋に戻って準備しなきゃ。
「じゃあ、お母様。ぼく・・・わたしは部屋に戻って準備してきます!」
そういうと同時に(むしろ言いながら)、僕は急いで自分の部屋に戻る。
「あらあら、クーちゃんは元気ねぇ。それにしても森にいって何するのかしらねぇ」
なんてお母様の、のんきな声が食堂からした。
僕は部屋に入って、動きやすい服に着替える。
昨日から用意してあったカバンに魔術書を入れて、部屋を出る。
あ、そうだ。
サキさんに朝のパンをもらってお弁当にしよう。
残ってるかな?
部屋を出て、食堂に行く。
えーっとサキさんは、と。
あっいた。
どうやらキッチンでお昼の仕込みをしているようだ。
「あの、サキさん。朝のパンとかある?」
朝の白パンをもっていけばおべんとうにはちょうどいいだろう。
「パンですか? えーっとひとつだけ残ってますね。どうするんですか?」
サキさん、はいどうぞって僕にパンを渡しながら聞いてきた。
「えっとね、お弁当にお昼に食べるの」
僕はもらったパンをカバンにしまう。
「言ってくだされば、お弁当作りましたのに」
「朝食べたパンがおいしかったからこれでいいの」
僕は笑顔でそういうと、サキさんは少し照れくさそうにしていた。