ちょっと特別な朝(2)
僕はコンコンとお母様の部屋の扉をノックした。
「誰かしら?」
お母様のまったりした声が聞こえた。
お母様の声がいつも以上にまったりして聞こえるのはきっとお母様が起きたばかりだからだろう。
「ぼ・・・わたしです、お母様」
・・・・・・危なかったぁ。
僕なんていったら、お母様に、
『女の子なんだから僕って言っちゃダメでしょ』
って怒られてしまう。
「あら。クーちゃん?どうぞー入ってきて」
僕はその声で扉を開けてお母様の部屋に入る。
お母様はやっぱりまだ寝巻き姿で眠そうな目をしている。
そしてお母様の隣では妹のエアルがまだ気持ちよさそうに寝ている。
・・・・・・よだれをたらして。
まぁ、まだ2歳だから仕方がないかな。
そしてこの人が僕のお母様のカリン・オルトレアだ。
2児の母とは思えないほどに若いし美人だ。
僕のちょっとした自慢だ。
でも少し前、出来心でお母様に何歳か聞いたらなんかすごく怖い笑顔をされた。
あまりにも怖かったのでもう聞かない。
だってすごく怖かったもん・・・。
そして僕は、クーリア・オルトレア5歳だ。
お母様だけはいつも僕のことをクーちゃんって呼ぶ。
それが結構気に入ってたり。
「あの、お母様。今日僕の5歳の誕生日です、裏の森に行っても、いいですか・・・?」
僕は少し上目遣いで、そわそわしながら聞く。
「んー、そうねー」
お母様は少し考えるようなそぶりを見せ、
「朝ごはんを食べたらいいわ」
「ホントですかお母様!」
僕はすごくうれしくて、お母様に勢いよく抱きついた。
するとお母様は、ゴフッって言ってベッドに横になって動かなくなった。
なんだろう、眠っちゃったのかな?
やっぱりまだ眠かったんだね。
「そうだ! サキさんに朝ごはんまだか聞いてこよっ」
僕は来たときと同じく走ってサキさんのところに向かった。
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『・・・くーちゃん。・・・・・・おそろしい子』
カリンは、クーリアが部屋から出て行ってから一人うめいたが、それは誰にも届かずただ空しく部屋に消えた。
「おかあしゃまうるしゃい」
そして寝ぼけたエアルに止めとばかりに蹴りを入れられていた。
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「サーキさん」
僕はちょうど食器を並べ終わったばかりのサキさんに飛びついた。
「うひゃぁっ!」
サキさんがすごい声を上げて僕をぶら下げたまま飛び上がった。
さすがサキさんだ!
「おおおおおお、お嬢様!?」
「今日の朝ごはんなぁに?」
僕はサキさんのテンパってるのをわざと無視して朝ごはんを聞く。
「あの、えっと、あのですね。今日は-----」
本当は朝ごはんのメニューなんてどうでもいいのだ。
だってサキさんが作るごはんはどんなものでもおいしいもん。
今は森に行けることがうれしくてうれしくて、だからちょっとはしゃいじゃってるのだ。
いつもはこんなにアバレテナイデスヨ?