表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜と小さな魔術師  作者: 桜野猫
小さな決意
16/26

勉強と散歩

 シュヴェル大陸には4つの国がある。

 鍛冶の盛んなロードル、代々女王が治める魔術国家ベール、竜騎士を抱えるグラン、重装騎士団を持ち最も防衛力の高いボーデイ。

 大陸の覇権を争うでもなく、4ヶ国は友好関係を築き平和であったといえる。

 平和であったと言っても戦争が全くなかったわけではない。

 4カ国間にも大昔とはいえ戦争はあった。大陸の豊かな資源を我が物と独占するために争い、大陸は戦火に見舞われた。国境は封鎖され、貿易は停止。国々は憎しみ合い殺しあった。

 それが歴史に残る、大陸全土を巻き込んだ戦争であった。


 しかし大陸内の戦争が終わっても戦火は外から舞い込んできた。他大陸が侵略してきたのだ。もちろん目当ては豊富な資源。

 この大陸は周りを海に囲まれている。

 だから必然と戦場は海上となる。

 外敵との戦いは4カ国が組んで編成した4カ国連合が迎え撃つ。

水上でベールの船団が食い止め上陸を阻止する。そしてボーデイの重装騎士団が網を抜けてきたものを叩き潰す。他2国は援護しそれを撃退。そうやって協力して大陸を守ってきた。

 数百年続く国家間の友好関係、容易く崩れるような脆いものでないのは侵略を食い止め、跳ね除けてきたことからもわかるだろう。

 つまり4カ国の武力は国と大陸を守るために存在しているのだ。

 

                                 シュヴェル大陸の歴史






 「……ふぅ、疲れた」


 読んでいた本を、パタンっと閉じ、ため息を吐く。


 「歴史なんて勉強して、何になるっていうんだろ」


 もう一度ため息を吐いて立ち上がり、窓を開ける。

 窓を開けると、少し湿気を含んだ生暖かい風が頬を撫でる。

 風に当たっていると、勉強をして憂鬱だった気分が少し晴れた気がした。

 

 「んぅー……、よし!」


 背伸びをして、頬をぱちんっと叩いて気分を変える。


 「んーっと、あ、いた。おいでアルト」


 クーリアは部屋を見渡し、声をかける。

 

 「ぴぃ!」


 すると部屋の奥のほうから仔竜がすっと飛んできてクーリアの肩に乗る。


 「よしよし、じゃあ夜のお散歩に行くよ!」


 クーリアはアルトの頭を撫でながら、窓から外に出る。



 人里はなれた場所に、今クーリア達二人が住んでいる家がある。

 二人で住むには少々大きい家だ。

 あの日から数日クーリアは、気づいたらここにいた。だからクーリアはここがどこなのかよくわかっていない。サキさんに聞いても笑ってごまかすだけだった。

 森の中にあるせいで、娯楽はほとんどない。

 家にいるときは、勉強や作法などをやらされている。

 

 何でこんなめんどくさいことをやらなきゃいけないのか!! と思いたって、抗議してみたら、


 「必要なことですから(ニコッ)」


 と、怖い笑顔で言われたので、僕はそれ以上の抗議はできずに蚊の鳴くような声で『・・・・・・はい』としか答えられなかった。僕、弱すぎ・・・・・・。


 まぁ仕方ないから(逆らったり、サボったりすると怖いから)がんばって勉強をしているわけだ。僕偉い!

 苦行を行った後に何のご褒美もないなんておかしい! って思うけどサキさんに言ってもきっとあの(怖い)笑顔で『ないです。(ニコッ)』って言われるのは目に見えるので、君子危うきに近寄らず、怖いものは見たくない精神で、アルトと夜の散歩に興じているわけだ。

 もちろんサキさんには内緒で、怖いので。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ