妊娠〜別れ
彼に見送られ、成田行きの飛行機に乗って考えた。
彼とニューヨークで暮らすのも面白そうだなと。
それには問題が1つある。
風俗嬢の私だか、親は厳格で、ニューヨークに住むなんて許してもらえそうもない。
そこでニューヨーク校を併設している、という、美容の専門学校に入学し、留学を目指すことにした。
離れて暮らす日々。
新しい環境と出会い。
私には新しい彼氏ができた。
でも、彼には言えない。
しばらくそんな状態が続いたある日、1ヶ月以上、生理がきていないことに気が付いた。
市販の検査では妊娠を表すラインが浮かび上がった。
病院にいき、中絶の手続きをしてくる。
自宅に戻り、まず、彼に電話をした。
「実は私、妊娠した」
「え、だって俺はできないはず・・・」
そう、彼はイカない人で、私たちのセックスは適当に彼が疲れたら終わる、というものだった。
彼はもともと遅漏だったうえに、薬物を乱用していたのでイカなくなった、と言っていた。
「だから、あなたじゃない別の人。ごめん。離れてるのは無理みたい。」
彼は静かに「わかった」とだけつぶやいた。
(後に彼が書いた本の中にこの時の別れについて触れた部分があった。自分が悪かったと。でもそれについてはまた別の機会にしたいと思う。)
それから彼氏に電話をし、妊娠したことと、中絶することを伝えた。




