第7話: 47人、同時消失
掲示板が爆発していた。
【今夜22時】例の町、ガチ検証
【参加者47人】全員同時突入
【AIなら処理限界ある説】
更新ボタンを押すたびにレスが増える。
「さすがに数で押せば崩れる」
「同時アクセスは無理だろ」
「BANされても伝説w」
配信リンクが並ぶ。
炎上系。
PvP上位勢。
血盟残党の生き残り。
「今日は祭りだな」
誰かが書き込む。
⸻
22時。
町の外。
夜風が吹く。
黒装備が、横一列に並ぶ。
剣を肩に担ぐ者。
魔法陣を展開する者。
笑いながらポーションを飲む者。
リーダーが振り返る。
「確認する」
「触れた瞬間BANなら」
剣を抜く。
「全員同時に触る」
笑いが起きる。
「47人だぞ?」
「処理できるわけない」
「町、落とそうぜ」
門の向こう。
門番NPCが気づく。
「どうしましたか?」
いつも通りの声。
それが妙に静かに響く。
一瞬、風が止む。
リーダーがカウントする。
三。
二。
一。
「突入!」
⸻
雪崩。
足音が重なる。
門番を押しのける。
商人を囲む。
子供NPCの前に立つ。
「今だ!」
剣が振り上がる。
魔法陣が光る。
その瞬間。
世界が、止まる。
音が消える。
足音が途中で途切れる。
鈴の音が空中で凍る。
剣が振り下ろされる寸前で固まる。
誰かの口が開いたまま止まる。
白。
町全体が、白く染まる。
一人の視界。
赤文字が、ゆっくり浮かぶ。
P
E
R
M
A
N
E
N
T
BAN
「……は?」
別の配信。
同じ文字。
PERMANENT BAN
「え?」
さらに。
PERMANENT BAN
PERMANENT BAN
連鎖。
光が弾ける。
一人。
また一人。
「ちょ、待て——」
最後の一人が叫ぶ。
「数で押せば——」
PERMANENT BAN
消えた。
47人。
同時。
0.3秒。
⸻
音が戻る。
町は、静かだった。
商人NPCが商品を並べ直す。
子供NPCが笑う。
門番NPCが言う。
「良い夜ですね」
何事もなかったように。
⸻
配信画面。
誰もいない。
コメント欄だけが暴走する。
「消えた」
「早すぎ」
「処理落ちすら無い」
「47人一瞬」
ログが共有される。
処分理由:
NPC殺害未遂(集団)
悪性傾向:極大
組織判定:排除対象
掲示板。
【速報】47人同時永久
【町に触れるな】
【対策不能】
スレが乱立する。
「光ったら終わり」
「回避不可」
「町ガチで聖域」
⸻
宿屋の前。
ARIAが立っている。
静かな町を見る。
目を見開いたまま。
「……やば」
小さく、笑う。
「最強じゃん」
⸻
俺は掃除をしている。
ほうきを動かす。
石畳は綺麗だ。
血も、跡も、何もない。
ただ一瞬。
瞳の奥に赤い残光。
消える。
清掃完了。
この町に触れた者は。
全員、消えた。
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