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ぼくらのカスみたいな青春に捧げるレクイエム  作者: 藤原ゴンザレス


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第五話 ノルマ乙

 教頭はおそらく症状が出てから最速で病院に運ばれたが、残念なことに……。

 別に心は痛まない。

 野球部の例の事件の連帯責任を文化系の我らにまで負わせた戦犯だ。

 なお学校は臨時で休校するようだ。

 その間に保護者集会が行われるらしい。

 集会したってもうどうにもならないのに。

 教師の一人が生徒と肉体関係を持っていたのはわかってるのだ。

 当事者の一方である三橋は「脅迫された」と被害者面することにしたようだ。

 金取ってたのに。

 休みになる前、友人たちがヨシヨシしてた。

 陰でせせら笑われてるというのに。

 ネットでは住所まで晒されてるらしい。

 ぼくらの学校ではお互いの住所は教えられてない。

 つまり……家に行ったことのある……ヨシヨシしてる連中の誰かがわざと漏らしたのだろう。

 男子は兄弟の絆があるだろう。シェア的な意味で。

 だから漏らしたとは思えない。

 そこまでの悪意を……持つほど頭はよくないだろう。

 女子の誰かだろう。

 おそらく三橋と『仲良し』の男子が欲しい誰かさんとか。

 愛憎渦巻く状況か。

 ぴえんしてる三橋も誰が犯人か調べているのだろう。

 あとで『仲良し』のヤンキーに殴ってもらうのだろう。

 そして最大の謎は未だに学校に来てること。

 つまり三橋と『仲良し』の教師がいる。しかも権力者だ。

 死亡した教頭ではないだろう。

 校長だな。

 やだ怖い。

 さらに言えば警察も動いてない。

 少年課の刑事とズブズブなのだろう。複数の意味で。

 学校って社会の縮図だね。

 近寄らないでおこう。

 そんなクソどうでもいいことより楽しいことを考えよう。

 今日は真田とどこに遊びに行こうかな。


「ねえ真田。今日はどこ行く」


「うううううう、うん。わ、わたし! ふふふふ、フードコート行きたい!」


 あれか……高校生のありがちな放課後を体験してみたいと。

 だが……フードコートでのありがちな放課後ってフィクションじゃないの?

 金ないからコンビニで安いお菓子買って帰って、それぞれのお家でゲームでマルチプレイがリアルじゃないの?

 ま、いいか。

 別に困ることもない。素直にフードコートに行く。

 放課後フードコートで勉強だ。


「どどどどどど、どこの大学行く?」


 俺はたこ焼きにクシを突き刺すと優しい目で言った。


「入れてくれるとこ」


 もはや学校名だけで落とされるレベルだ。

 クシを持ち上げてっと。


「あーん」


「ええええええ!」


「あーん」


「じゃあ……あーん」


 真田のスマホを差し出す。

「持って」ってことだろう。

 ははは、ういやつめ!

 もちろんこれも実況してる。

 Vログで健全なおつき合いを流してるだけだ。

 なのに「死ね」とか「野郎ぶち殺す!」とか書込まれる謎。

 だけどちょっとタイムラインに変化があった。


『死人まだぁ?』


『誰も死なねえのかよ!』


『オラ速く死体映せ!』


 なんらオラついた書き込みが増えてきた。

 アホが!

 そんなものが都合良く……。

 がっしゃーん!

 ありえない音が響いた。

 フードコートの天井が落ちてくる。

 ぼくは真田に覆い被さって守る。

 親子連れが巻き込まれ、悲鳴が響いた。

 粉塵で何も見えない。


「お客様! 落ち着いてください!」


 どこかの店の店員が叫んでいた。

 そういうマニュアルなのだろう。

 この状態でもマニュアル通りなのすげえ。


『な、なにがあった!?』


『え、ホントなに?』


「どうしたん?」


 書き込みはいつもどおり。

 コイツをライト代わりに……。

 崩落した天井の瓦礫。

 そのてっぺんに見慣れたやつがいた。

 三橋だ。

 ただ首と手足に破片が突き刺さってる。

 ビクビク痙攣してるが……おそらく即死だろう。

 だって首が半分切れてるもの。

 ブチブチブチっと音がした。

 ごろっと……頭が転がってきた。

 とうとう千切れたようだ。

 ぼくは途方に暮れて……一部始終を撮影してしまった。

 一瞬呆けたけど、あわてて真田に声をかける。


「真田! 無事か!?」


「え、えへへへへ。こっちは大丈夫。眼鏡どこぉ……」


 だいぶ粉塵の霧がはれた……眼鏡を拾ってやる。


「も、もう……なにが……どああああああああああああああ!」


 真田は首を見て悲鳴を上げた。

 俺は真田のスマホを見る。


『ノルマ達成おめ!』


『ノルマ乙』


『死んだのビッチか!』


 ふう……バカどもの書き込みを見たら急に頭がクリアになった。

 すると手がヌルヌルしてることに気づいた。

 ああ、三橋の血か。

 床は血まみれだった。

 三橋の体のパーツが散乱したせいだ。

 もう三橋は三橋を維持できなくなっていた。


「だ、大丈夫ですか!」


 フードコート内の人々が出口に殺到する。

 あちこちで将棋倒しが起こり悲鳴が上がる。

 ぼくらは逃げるのをあきらめた。


「デート……メチャクチャになっちゃった……」


「ごめん」


「神宮司くんは悪くないよ」


 たしかにその通りなのだが……、いくらなんでも出来過ぎだ。

 なぜこうなった……。

 真田が震えてる。

 俺は安心させようともう一度真田の肩を抱こうとした。

 でも自分の手が血まみれだったことに気づいて手を引っ込めた。

 そうこうしてると救急隊員がやって来た。

 ぼくらはストレッチャーに載せられ救急車で運ばれた。

 破片をかぶって思ったより怪我してたようだ。

 ぼくがほとんどの破片を受け止めたけど、真田も手を切ってた。

 ぼくは頭を切って二人仲良く救急搬送された。


「神宮司くん! 守ってくれてありがとう!」


 別れ際に真田にそう言われたが、おそらく真田の親はぼくを許さないだろう。

 ぼくが死人を呼び寄せてると思ってもおかしくない。

 別れたくないなあ……。

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ビッチの血でビッチャビチャ、病気感染りそう。
三橋が一橋と二橋に……
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