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ぼくらのカスみたいな青春に捧げるレクイエム  作者: 藤原ゴンザレス


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第二十一話 解析

 学校のグループウェアのデータベースはすでに手に入れた。

 テキストデータは全件保存してある。

 あとメッセージ送るのに使われた添付の各ファイルもね。

 データベースを検索する。

 AIでもいいけど、インストールできるものじゃなきゃ、すぐに警察が飛んできて不正アクセス禁止法で逮捕されるだろう。

 かといってローカル版を動かせるようなビデオメモリの多いパソコンは持ってない。

 なのでテキストエディタで人力検索。

 まずは『コカイン』で検索。

 文科省から麻薬の乱用を注意するポスターが出てきた

 それしかない。

 一応、ファイル検索をかけてポスターを出す。

 普通のPNGファイルだ。

 ポスターのファイルサイズを調べる。

 これで電子的細工がないかある程度推測できる。

 一応、ファイル内ファイルを調べるアプリで検査。

 ないな。

 ファイルは野球選手が『麻薬を使わないで!』って言ってるものだ。

 おいおい、コカインやってたの野球部だぞ。

 あほくさ。

 じゃあ隠語の『スノウ』で検索。

 白雪姫(スノウホワイト)が検索結果に出た。

 なんだよコカインじゃないのか。

 一応見るか……。

 半年くらい前に市民ホールで公演があったようだ。

 へえ……。卒業生がヒロイン役で出演したのか。

 ヒロイン役の卒業生を検索する。


「……八月に自殺?」


 おいおい……嘘だろ。

 だが……待てよ。

 この程度は警察も知ってるか。

 ただの公開情報だ。

 ぼくだけの情報じゃない。

 つまり事件とは無関係……だよね?

 なんか嫌な予感がする。

 なぜ俺たちは知らなかったのか?

 警察はなぜ捜査しなかったのか?

 ……あー……うん、捜査しなければ犯罪率は上がらない。

 いつもの県警ムーブだな。

 考えるだけ無駄だ。

 ただ……これは連続殺人事件に関係があるのか?

 それが問題だ。

 現在の年間自殺者数は二万人程度。

 それを十二年間だから、二十四万人。

 かなり大きめの地方自治体が滅んでる計算になる。

 知り合いや親戚から一人くらいは自殺者が出る計算だ。

 珍しくはない。ありふれたアクシデントでしかない。

 いちいち連続殺人をしてたら日本はとっくの昔に滅んでるだろう。

 ただ殺す動機になるかと言われたら、なる。

 もし警察がろくに捜査をしなかったら自分の手で処すと考えてもおかしくない。

 ぼくならどうする?

 簡単だ。

 もっとえげつない麻薬を渡して、全員中毒による昏倒させて一酸化炭素中毒や低血糖で殺す。

 ぼくなら燃やさない。

 派手な演出は必要ない。

 恐怖や責め苦も必要ない。

 ただぼくや他人の人生から消すだけだ。

 証拠は残してもぼくにはたどり着けないようにする。

 隠蔽したい証拠を用意して学校側に揉み消させる。

 だとするとこの犯罪の目的は「殺したぞ」と示すこと。

 動画配信者を呼んで見せつけてるのだ。

 サイコパスじゃないな……。

 サイコパスは自分の精神状態のコントロールに長けている。

 目的のために合理的だから犯罪をするだけで、犯罪を好んでるわけじゃない。

 むしろただ苦痛なだけの勉強に青春を浪費して出世するタイプだ。

 人の皮で家具を作るような変態はサイコパスじゃないってわけ。

 ぼくらがやる犯罪なんて、せいぜいが軽犯罪や経済犯罪なのだ。

 ぼくらはただ共感性が欠如してるだけなのだ。

 それに対して犯人は自己コントロールが足りなすぎる。

 焼き尽くすなんて美しくない。

 知能の低さを現してる。

 邪魔であれば、ただ過不足なく死を与えればいい。

 だいたい一ターンで行動しすぎだ。

 計画性もなにもあったものじゃない。

 なにもかも整理されてない。


「ソシオパスか……」


 ソシオパスは、ぼくらサイコパスと混同される困った連中だ。

 彼らは共感性が低い。

 ぼくらも共感性は低いが法と道徳を論理的に理解してる。

 とっさの善悪の判断は難しく、たまに判断を誤るが、それでも法に従う気はある。

 だけどソシオパスは法と道徳よりも感情を優先する。

 ぼくらは経験上、自分が常に間違っていることを学習してる。

 だから普通の人間のフリに必死だ。

 だけど彼らは自分は正しいと思ってるし、自分のやることを異常だとは思ってない。

 感情的で、短絡的で、無謀で、快楽主義者、そして良心の呵責を感じない。

 良心がないことに悩み、日々良い人間であろうと明後日の方向の努力を繰り返す……そんなぼくらとは違う。

 彼らが犯罪をするたびに、ぼくらのせいになるのは社会構造的理不尽だ。差別とすら感じる。

 仮説では……あくまで仮説なのだが、先輩の自殺で怒りを持った存在が野球部を殺しまわってる。

 だけど、あまりにも賞賛されるためやめ時を見失ってる……ということだろうか。

 ま、現在の情報をつなぎ合わせただけだけどね。

 さーて、次に移るか。

 盗撮について検索……。ビンゴ。

 ファイル名で検察。

 写真と動画が該当。

 グループウェアに上げるなよ。バカだろお前ら。

 教師の情報リテラシーに危機感をおぼえつつ、ファイルを閲覧。

 ほとんどが下着と裸が数点。それといたしてる動画も。

 もし真田の写真があったら教師どもと野球部を皆殺しにして犯人に罪をなすり付けようと思ったが……。

 どうやらそこまでする必要はなさそうだ。

 おっと、クラスの連中まで……。

 見なかったことにしよう。

 ぼくは紳士でいるつもりだ。

 性欲ぐらいコントロールしてみせる。

 つまり警察に知らせた以上、ここに映ってる女子とその関係者が全員容疑者リスト入りか。

 闇に葬ることは不可能になった。

 これで全体像がおぼろげながら見えてきたけど……どう犯人個人を特定するかが問題だな。

 しかたない奥の手を使うか……。


「タケル!」


 ぼくは大声でタケルを呼んだ。


「あ、なんだよ兄貴!」


「これ見ろ」


「あんだよ……おいこれ!」


「学校で教師用のグループウェアのデータをぶっこ抜いた。お前に教えるのは……わかるな?」


 そこに映っていたのは白石さんだ。

 何点もある。

 そりゃ美人で有名だからな。

 盗撮くらいされただろう。


「……おい兄貴」


「安心しろ。俺は真田にしか興味ない。俺は何も見なかった。いいな?」


「ああ、わかった。それでどうすんだよ」


「ああ、これは生き残りの名簿だ。脅して拉致れ」


「わかった」


 さあ楽しくなってまいりました。

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