紅蓮の双牙(1)
赤堕天使の炎が再び爆ぜ、周囲を焼き払おうと迫ってきた。
だが、先ほどまで倒れていたナヅキは違った。
長ネギの刃を肩に担ぎ、炎に臆することなく前へ歩を進める。
「よう、待たせたな」
その背を見て、ネツレイが口角を上げた。
「フン、やっと役立つ気になったか」
「おう。頼りにしてるぜ、相棒」
「あ? 誰が相棒だ!」
吐き捨てながらも、ネツレイの目には決意の光が宿っていた。
『おいおい……まだ立つか? 人間ってのは、ほんっとしぶといなァ!』
赤堕天使が炎を腕にまとい、嘲るように笑う。
次の瞬間、炎の竜が二人へ襲いかかる。
だが、ネツレイは一歩も退かずに前に出た。
「ナヅキ! 右に流せ!」
「了解!」
ナヅキが刃を横薙ぎに振るうと、炎の竜の一部が切り裂かれ、流れが逸れる。
そこにネツレイが滑り込み、スティレットを突き立てた。
炎が爆ぜる中、赤堕天使の身体が僅かにのけぞる。
「チッ……小賢しい!」
炎の渦が再び膨れ上がる。
だが、その一瞬の揺らぎを、二人は見逃さなかった。
「ネツレイ、もう一丁!」
「言われなくても!」
ネツレイはスティレットを逆手に握り直し、赤堕天使の左腕を狙う。
その隙に、ナヅキは正面から一直線に突っ込んだ。
炎の壁が立ちはだかる。
だが、サラダの天使の力を宿した刃がそれを斬り裂き、まっすぐ突き進む。
「オラァアアアッ!!」
叫びと共に、ナヅキの刃が赤堕天使の胴を切り裂いた。
同時に、ネツレイのスティレットが肩口を抉る。
『がァ……ッ!?』
赤堕天使が苦悶の声を漏らし、炎の勢いが一瞬弱まった。
「どうだよ! 俺らのコンビ、悪くねぇだろ!」
ナヅキが振り返りざまに笑う。
「……調子に乗るな。まだ勝ってねぇ」
ネツレイは息を荒げつつも、刃を構え直す。
赤堕天使は苦笑しながら、口元を拭った。
『クク……悪くない、悪くないぞ。人間のくせに、面白いじゃないか……! もっとだ、もっと俺を楽しませろ!』
その瞳に、なお燃え盛る狂気が宿っている。
だが、ナヅキとネツレイは互いに視線を交わし、同時に前へと踏み出した。
「行くぞ、ネツレイ!」
「遅れるなよ、ナヅキ!」
炎と刃がぶつかり合い、夜空に轟音が響き渡った。




