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≪31≫


 森の異常事態については、近づく者ならば誰でも感じ取っただろう。

 それほどに魔物やら人の悲鳴が鳴り響いている。

 どうやら彼は最悪のタイミングにやって来たらしいと嫌でも実感する。


「うわ、どうするよ…帰るか?…でもなぁ依頼遂行出来なかったらペナルティあるしなぁ」

 それがあるからこそ比較的楽なレベルの依頼にしたのだ。

「ま、いいか。遭遇しなければいい話だしな。うん。自分の運の強さを信じて!」

 そういう人間に限って運とは縁もゆかりも無いものだ。

 とは言ってもガウバウの実というのは比較的森の外側に生息している。高レベルのモンスターと出会うことも少なく気をつけることと言えば、収穫の際にガウバウの実に噛まれることぐらい。

 普段はこの森も比較的静かなのだが、先ほどの冒険者の言葉のようにざわざわと落ち着かなく『どどどどどっ』という不気味音も響いている。

「さっさと採って帰ろ」

 ガウバウの実の面倒なことは群生しないことだ。1本その場所に生えていれば周囲2,30メートルは離れなければ生えていない。多く採るためにはその1本に出来るだけたくさん実をつけている木を見つけなければならない。

 特徴的なオレンジ色の実を探そうと彼は視界を上げた。

 そしてバッチリと合ってしまった。


 明らかに木の上から彼を狙っている獰猛そうなモンスターと。


「げ」


 一瞬の間があって、互いに行動を開始した。

 モンスターは跳躍の姿勢となり、彼は慌てて逃亡した。

「いやっ普通に考えて逃げるの無理だろっ!……待て!!!」

 彼の命令でモンスターが一瞬で急ブレーキをかける。

 

 シュンッ!


 彼の脇を何かが飛んでいった。

 それはモンスターの眉間に突き刺さる…どうやら槍だったようだ。

「だから言っただろ。危ないってさ」

 先ほど出会った男だった。

「聞いてねぇよ!」

「あーそっかそっか。ま、間に合ったから結果オーライってことで…っしょ」

 絶命したモンスターに近寄り、突き刺さった槍を抜き取る。

「今この森はさモンスターが大量発生してんの。ギルドのほうにそろそろ報告いってるはずなんだけどなぁ?」

「そんなの聞いてない!」

「ま、そういうこともあるさ」

「あってたまるか!」

 怒り心頭の彼に対して男はどこまでもマイペースだった。

「こっちはレベルも低くて、モンスターなんて遭遇したら死活問題なんだ。安全だと思ったからこの森の依頼を受けたのに、そのへんきっちり管理してもらわないと」

「あんたレベル幾らなん?」

「・・・10」

「うわー駆け出しだぁ」

 男の言葉にむっとした気配を感じた。

「良いんだよ。ぼちぼち安全な仕事を選んでレベル上げてるんだから!そういうお前は幾らなんだ?」

「俺?俺は57」

 レベル50を越えると中堅どころ。彼のようにガウバウの実の収穫などしていてなれるレベルでは無い。

「あんた魔法使いなんだよな?」

「…一応」

「治癒とか補助とかできるんだ?」

「少しだけなら」

「だったら俺の仲間にならないか?いやぁなかなか単独にやってる魔法使いっていなくてさ~」

「断る」

「え。何で?」

「仲間なんて必要ない。俺は一人で十分」

 そういうことで、と彼は町のほうへ向かう。モンスターの大量発生が原因で依頼が遂行できないのならばペナルティの対象にはならない。

「待って待って。俺が居たらさっきみたいな状態になっても助けてあげられるよ?」

「必要ない。助けてもらう理由もない」

 彼は男の言い分をあっさりと切って捨てる。

「そう言わず!レベルも楽に上がるよ~」

「別に上げたいと思ってないからいい」

「でもさ~」

「しつこい」

 そんな遣り取りが町の入口まで続けられた。











どうもお久しぶりです(ホントにな/汗)

第一部とどこが話が繋がってんのか、て謎ですが。たぶん、そのうち繋がります…たぶん(おい)

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