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≪3≫




「興味ある無しに関わらず、カリ様には魔王となっていただきます」

 問答無用かよ。

 こういうところが王宮の使者とは違って強引だ。魔族らしい。

「でもさ、オレ。王宮の使者が言うには勇者らしいけど?」

 そんな人間が魔王になっても良いのか?

「勇者などとっ!我ら魔族を一方的に悪と決めつけ、正義という名のもとでならば何をしても構わないと思っている馬鹿な人間どもの先鋒役!」

 勇者という存在に限らず、魔族にとって人間という存在は相当に心象が悪いらしい。

 人間側も魔族に良い感情は持っていないからお互い様か。

「いや、一方的って・・魔族がボランティア活動してるとか聞いたことなし、それなりに悪いことやってんじゃないの?」

「まさか!我らは古より、田畑を耕し、狩猟などしつつ細々と平和に生きてきた生き物ですっ!」

「・・・・・」

 うわ、すっげぇ牧歌的だな・・イメージ狂うし。

 俺なんて魔族になんて全然縁が無いから知らないが、それでもおどろおどろしいイメージがある。

「ん、でもオレのじーさんは勇者と戦って死んだんだろ?」

「前魔王陛下は、人間がそうくるならばとそれなりの演出をしてやろうでは無いかと仰られて・・お祭り騒ぎの好きな方でしたので・・」

 おいおいおいおい、祭りかよっ!

 オレのじーさん、どんな性格してたんだ・・・

「それで殺されてたらシャレにならねーぜ・・」

「はい、ですが魔王陛下も相打ちにされ・・勇者を見事討ち取られ崩御されました・・」

「だったら終りでいーじゃん」

 喧嘩両成敗って言うし。

「確かに、これで人間が諦めればそれで良かったでしょう。ですが、人間は新たに勇者を立て、再び我らが地を侵そうとしているのですっ!」

「いや、たぶん。その勇者がオレ。どうしてだか知らないけど」

 侵そうという気も無いし、猟師をやめる気も無いが。

「それはカリ様が勇者の血筋であるからでしょう」

「は?」

 魔王の血筋はどうした。

「・・・オヤジが魔王の血筋だよな、ということは・・・母さんか!?」

「はい。現王の妹姫であると伺っております」

「マジで!?」

 えー、ちょっと姫って感じじゃなかったけどなぁ・・確かに見た目はこんな村には不似合いなほどの美人だったが、怒らせたらそりゃぁもうオヤジなんて目じゃない強さだったよなぁ・・・夫婦喧嘩はいつも母さんが勝ってたし、親父その度に半殺しだったし。

「現王には娘しか居ないと聞いています。ですから甥にあたるあなたに白羽の矢が立てられたのでしょう・・・全く、勝手きわまりない!」

 アグーは怒りに拳を震わせ・・・おいおい、放電すんなよ。

 家壊すなよ。

「人間たちにとって勇者も所詮使い捨てカイロにすぎないのですっ!」

「いや、カイロって・・」

 

 それにしても、オレは魔族と人間のハーフだったのか。

 そういう重要なことは死ぬ前に言って欲しかったぜ、親父。母さん。


「でも、ホント。オレは魔王にも勇者にもなるつもり無いから」

「・・・わかりました」

 わかってくれたか。

「実力行使させていただくことに致します」

「はっ!?ちょ・・っ」




 静止をかける暇もなく、アグーはオレの手をとった。






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