第二十七話 召喚を拒む天使
第二十七話 召喚を拒む天使
朝の光はとっくに天頂に昇り、真昼の熱気が質素な部屋の薄いカーテンを通り、ほこりっぽい空気の中に幾筋かの光の柱を落としていた。
部屋の中央にある少し大きすぎる古いベッドには、一人の少年と一匹の黒猫が寝ていた。斜めに差し込む光が二人を照らす。
緋夜はゆっくりと目を開けた。空色の瞳には覚めたばかりの茫洋とした色が浮かび、見慣れたようでいてもどこか違うこの部屋を見回した。
壁の剥がれた跡、空気中の古びた匂い…これは、もういない両親が残した部屋で、彼自身の寝室ではない。
彼は体を起こし、ベッドの端に座り、眉をひそめて懸命に思い出そうとした。
「なぜ…俺がこの部屋で寝てたんだ?」困惑が蔓のように絡みつく。昨日の記憶の断片が少しずつ繋がっていく。
「そうだ、キャラメル!」彼ははっと気づき、両手を胸の前で強く合わせた――それは「召喚」の印であると同時に、今この時最も誠実な「祈り」でもあった。
微かで、ほとんど気づかないほどの光が一瞬走った。
ベッドの上に、黒猫が忽然と現れた。目は堅く閉じ、柔らかな体は丸まり、三本の尾は不安そうに微かに震え、軽く揺れていた。まるで夢の中でもがいているようだ。
「キャラメル!キャラメル!」緋夜はすぐに身を乗り出して近づき、声には切迫と恐慌があふれていた。
彼はキャラメルの依然として弱々しい様子を見て、心臓をぎゅっと掴まれたような恐怖が冷たい潮のように押し寄せた――彼はキャラメルを失うことを恐れていた。
緋夜の物音で、ベッドの反対側にいた黒猫――コクトウが目を覚ました。
それは慵懶に体を伸ばし、四本の尾を優雅に、一本ずつ天井の方に向かって立てた。
完全には目を開けず、ただその猫瞳で静かに、幾分か慵懶とした困惑を帯びて、緋夜の顔に隠せない不安を見つめていた。
「どうしよう…キャラメルを幻獣界に留まらせた方がいいのか?」緋夜は独り言のように呟き、焦慮が彼をむしばんだ。
ラファエルは確かにキャラメルは大丈夫だと言っていた。今も生命の危険はなさそうだが、この虚弱さはやはり胸が痛む。
「幻獣界に…医者はいるんだろうか?」人間の幻獣界に対する理解は少なすぎる。人間界に来る幻獣は種類が多く、奇妙なものばかりだ。
唯一の共通点は、それらが言葉を話せないこと。この見えない障壁が、人間が幻獣界の奥義を覗く可能性を阻んでいる。
「そうだ!ラファエルを呼べ!」一つの考えが火花のように緋夜の脳裏を走った。
ラファエルは治癒の能力を持っている。キャラメルを助けられるかもしれない!希望の火が瞬間的に灯った。
しかし次の瞬間、その火は消し飛んだ。彼は落胆して微かに震える自分の両手を見た。
(また召喚できなかったらどうしよう…)この考えは重い枷のように、彼をしっかりと縛りつけ、恐怖の影が瞬時にその微かな光を飲み込んだ。
昨日ラファエルを召喚した時はあんなに不安定だった。天使の召喚は、どうやらその時の彼の「心の状態」と深く関わっているらしい。
しかし、彼にはラファエルを召喚するコツがまったくわからない――いったいどのような心境でいれば、天使の降临を成功裡に呼べるのか?
ミカエルは「無惧」を、ラファエルは「無感」を、ウリエルは「無聡」を表す。これが今の緋夜が召喚できる三人の天使だ。
「ラファエルが一番不安定で、召喚してもすぐ消えちゃう…じゃあミカエルは?」緋夜は腕を組み、ベッドの端に座って苦悩した。
コクトウはようやく完全に覚醒し、優雅に座り直した。その大きなベッドの上で、静かな猫眼で思索に沈む主人を専注して見つめている。
「でも、昨日どうやってミカエルを召喚したか、俺は全然わかってないや…」彼は何の手がかりもつかめず、霧の中を手探りするようだった。
「じゃあ…残る選択肢は一つしかない!」緋夜の眼の中に、一か八かの闘志のようなものが猛然と燃え上がった。彼は深く息を吸い、両手を再び高く胸の前まで上げ――
「パン!」と軽快な手を叩く音が部屋に響いた。
「ウリエル!」彼は力強く名前を呼んだ。空気の中に期待が凝縮されるかのようだった。
しかし…一片の静寂。何も起こらない。
「ウ、ウリエル?」緋夜の声は一瞬でオクターブ低くなり、緊張して周囲を見回した。心臓は胸の中で高鳴る。
突然、部屋の隅の空気の中から、予兆なく、一小団の見覚えのある光が迸った!
緋夜の心臓は喉から飛び出そうになり、興奮してその光を凝視した――
だが次の瞬間、その光は風に吹き飛ばされる煙のように、「ぷっ」という軽い音と共に、瞬時に消散して跡形もなくなった。
緋夜は完全に呆然とし、愕然として光が消えた場所を見つめた。
「失、失敗?」疑問が頭いっぱいに詰まった。
おかしい、明明光は現れたじゃないか!前にミカエルやラファエルが召喚できなかった時は、光さえもなかったのに!これはいったいどういうことだ?
(なぜ散っちゃったんだ…)彼の頭にこの疑問が浮かんだ瞬間――
轟!まるで無形の雷が直接彼の頭頂を劈いたかのようだった!
全身が瞬間的に硬直し、見えない力でその場に釘付けにされた。
眼前の光景がぼやけ、揺らぎ始めた。豪快で、拒否を許さない声が粗暴に彼の脳裏に闖入し、直接思考の中で炸裂した。
「おい、おい!小僧!聞こえるか?」ウリエルの声は洪鐘のように彼の意識を震わせ、遮断することなど不可能だった。
「ウリエル!」緋夜は内心で驚叫した。
まだ通信できるのか?!明明ミカエルやラファエルとの繋がりは切れていたのに!
「なぜお前を召喚できないんだ、ウリエル?」彼はすぐに頭の中で切迫して問い詰めた。
まさかミカエルやラファエルのように、ウリエルを召喚する能力も失ってしまったのか?
だがさっきの聚まっては散る光は、感じが全く違う!
「ああ?これか――」ウリエルの声は随意的に聞こえ、背景で遠くの爆発の鈍い音がしたようだった(緋夜にはもちろん聞こえず、彼が受け取れるのはウリエルの「通話」だけだ)。
「俺は今忙しいんだよ、だから拒絕(召喚)したってわけさ!」ウリエルは単刀直入に答えを出した。
「拒、拒絕!?」緋夜はベッドの上に座ったまま、石のように固まった。
召喚された側が召喚を拒絕できるだって?!聞いたことがない!(だが…相手がウリエルなら、まああり得るか?)
「魔界から何匹かの雑魚魔物が、ガブリエルの隙間だらけの結界を抜けて、天界にやってきやがった」ウリエルの声には幾分か不耐煩な説明が含まれ、彼女にとっては日常茶飯事の面倒事のように聞こえた。
何しろガブリエルの結界は、ルシファークラスの、強大な負のエネルギーに満ちた「七大罪」の存在を阻むことしかできない。
力の弱い下層の魔物など?結界などまるで無力も同然だ。
「どうせ言ったってお前にはわからねえだろ~」ウリエルの口調は「説明したって時間の無駄」という意味に満ちていた。
「ミカエルのあいつは今動けねえから、汚れ仕事は全部俺の肩にのしかかってるんだ!」ウリエルはついでに一句愚痴をこぼした。
ルシファーに完全に肉身を滅ぼされたミカエルは、今、長い恢復期にある。
「とにかくな、この煩い虫どもを片付けてから…のんびり茶でも飲んでからお前のところに行くぜ~」ウリエルは軽快に言い放つと、緋夜の返答を待たず、きっぱりとこの心の通信を切った。
彼女は眼前に潮のように押し寄せる弱小魔物を見て、口元に狂放で危険な気配に満ちた邪悪な笑みを浮かべた。
「身の程知らずだな、このクズどもが!」
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部屋の中で、緋夜は電源を抜かれた人形のように、魂が抜けたようにぼんやりとベッドに座っていた。
コクトウは傍らで静かに彼を見つめ、やがて慵懶に口を開けて、無音のあくびさえした。
「彼女は…今は来られないらしい…」緋夜は沮喪して結論を出し、肩を落とし、頭を無力に垂れた。
それにあの口調…茶を飲んでから来るって?今日中に現れるかどうかもわかったものじゃない!
(彼女、本当に天使なのか…)この緋夜の心底に深く根ざした古い疑問が、再び頑強に浮上してきた。
彼の視線はベッドの上で虚弱に眠るキャラメルに戻った。
その小さな、かすかに上下する胸が、彼の内心の恐怖を刺す。
「自分でやるしかない!」負けじ魂が猛然と沮喪を吹き飛ばした。
緋夜は力強く首を振り、眼差しは再び堅固になった。
「とにかく、今すぐ街にキャラメルの大好物を買いに行く!」
(待ってろ、キャラメル!必ず元気にしてやる!)彼は心の中でキャラメルに誓いを立て、素早くベッドから飛び降り、飛び出す準備をした。
「にゃっ!」コクトウは彼の慌てた様子を見て、ベッドの上で端座して一声鳴いた。まるで誰かを忘れるなと注意しているようだ。
緋夜はその声にハッと立ち止まり、すぐにコクトウに腕を差し伸べた。
「来い、コクトウ」
颯爽とした黒猫は軽やかに一跳びし、緋夜の腕に沿って、慣れた様子で彼の肩まで攀じ登り、しっかりと蹲坐した。四本の尾は自然に垂れ下がる。
緋夜は手を上げ、最後にベッドの上で依然として昏睡するキャラメルを見つめ、目には心配と決意が満ちていた。
「パチ!」と軽快な指弾きの音。微光が走り、虚弱なキャラメルの姿はベッドから消え、休息のため幻獣界に送り返された。
彼はさっと傍らに置かれた古いリュックを肩に放り投げ、肩にしっかり座るコクトウを連れ、家のドアを押し開け、外の真昼の喧騒の陽光と街の音の中に足を踏み入れた。




