第二十一話 迷宮内の追跡
第二十一話 迷宮内の追跡
巨大な銀色の月が永遠に迷宮の天蓋に掛かり、清冷で不変の光を降り注いでいた。
周囲の樹木、蔦、さらには岩さえも、この奇妙な月光に浸透され、夢幻的な銀白色の質感を帯びており、まるで世界全体が流動する水銀でメッキされたようだった。
ただ、その銀の輝きの中を彷徨い、潜む魔物たちだけが、この聖なる景観に相容れない濃密な黒い霧を纏い、純粋なキャンバス上の醜い染みのようだった。
主人公、緋夜・グレイヴンは微かに光る銀色の葉の茂みの後ろに縮こまり、息を潜め、緊張した視線を迷宮入口に釘付けにしていた。
彼は入口に近づこうとした狼型の魔物が、入口の光膜に触れた瞬間、まるで見えない壁にぶつかったかのように弾き飛ばされ、苦痛の悲鳴を上げるのを観察した。
「どうやら…C級ダンジョンの魔物はこの入口からギルドの外へは出られないらしい…」彼は声を潜めて独り言を言い、以前の推測を裏付け、冒険者たちの言葉を思い出した。
「ギルドから出てきた魔物はみんなE級ダンジョンから湧き出たものだ…」拳を握りしめ、大胆な(あるいは絶望の中での唯一の)計画が脳裏に徐々に形を成していく。
(ということは…あの悪魔をこのダンジョンの奥深くにおびき寄せて、その隙に俺が入口からギルドに逃げ戻れば…)その考えに心臓が高鳴る。
(悪魔である彼女も、この入口を通って簡単に追いかけてはこられないはずだ?)
しかし、彼が入口と計画に全神経を集中しているまさにその時、背後の影から幾つかの冷たい刺すような殺意が音もなく広がってきた!彼は猛然と身を翻し、瞳孔が収縮した!
見ると、腐食性の涎を垂らし、牙だらけの巨大な口が複数の方向から彼を喰らいにかかってきていた!
それらの魔物の体躯は彼を遥かに上回り、動く小山のようだった!
「ぎゃああああ!」恐怖が一瞬にして理性を飲み込み、彼は恐怖の限りを尽くした悲鳴を上げ、生き延びる本能に従って、無様に転がり、よろめき、かろうじて致命的な噛みつきを避けた!
(くそっ…考えてみれば前にここに来た時は、ミカエルやラファエルがそばにいたんだ…)冷たい岩壁に背を預け、絶望的に周囲を見渡した。
避けられて怒った巨大な魔物たちは、すでに包囲網を形成し、彼を中央に完全に閉じ込め、「おやつ」である彼を貪欲で凶暴な眼差しで捉えていた。
「俺、俺一人でどうやってこいつらを相手にすればいいんだよ!」声はかすれ、無力感に満ちていた。
魔物たちは低いうなり声を上げ、一歩一歩詰め寄り、死の影が実体のように押し寄せてきた。
(ここで死ぬんだ…)この考えが鮮明に浮かび、冷たく絶望的だった。
(だって…俺は弱すぎる…)握りしめた拳が力で震え、指の関節は白くなった。
「いや…」彼は喉の奥から微かな抵抗を絞り出した。
直後、その抵抗は火をつけられた星の火のように、突然熱い光を爆発させた!
「死にたくない――!」彼は猛然と顔を上げ、諦めきれない気持ちと怒りにまみれた涙を流しながら、その瞳はこの瞬間、前代未聞の、焼き入れされた鋼鉄のような強固な意志を宿した!
「ミカエル!助けてくれ――!」全身の力を振り絞り、虚空へ、心の奥底にある最後の信仰へ向かって、肺腑を抉るような呼びかけを発した!
この窮地での信念に応えるかのように――
天蓋の銀月よりもさらに輝かしく、さらに聖なる光が、迷宮の永遠の銀色の輝きを引き裂き、神の罰のように天から降り注いだ!
光の中心で、巨大で純白の翼が優雅に、力強く広がった!
「あなたの召喚に従い…」魂が震えるほど馴染み深い声が、天の声のように魔物に囲まれたこの絶望の地に鳴り響いた。
「大天使ミカエル」金髪の天使が万丈の光華を伴い、守護神のように彼の前に降り立ち、すべての醜い魔物を遮った!
「ミ…カエル…?」緋夜は呆然と、久しぶりに会いながらも今は疑いようもなく現実の金色の姿を見つめ、張り詰めていた神経が突然緩み、膝がガクッと折れ、全身の力が抜けたように床に崩れ落ちた。
ミカエルは振り返ることすらせず、手にした聖炎を燃やす巨大な光の剣を既に振るっていた!半月形の白熱する光の弧が横薙ぎに走る!
「ドゴォォン――!」耳をつんざく轟音の中で、緋夜を取り囲んでいた数匹の巨大な魔物は悲鳴すら上げる間もなく、聖なる炎と衝撃波の中で灰燼に帰した!狂暴なエネルギーが銀色の塵を巻き上げ、迷宮の空気が一気に澄んだ。
「緋夜様…」ミカエルはようやく光の剣を収め、素早く身を翻してしゃがみ込み、金色の瞳に心配が満ちて、地面で衰弱した少年を見つめた。
「ミカエル…」緋夜の声は嗚咽と悔しさを帯びていた。
「ずっと呼んでたんだ…ずっと呼んでたんだ…なぜ…なぜ今になって…」涙が再び視界をぼやけさせ、遅れてきた救いを見て、心は複雑な感情でいっぱいだった。
「申し訳ありません、緋夜様」ミカエルは手を伸ばし、指先で優しく彼の頬の涙の跡を拭った。その動作は壊れやすい宝石を扱うかのように繊細だった。
「私が…もっと早くこの核心をお伝えすべきでした」彼女の声には深い後悔が込められていた。
「私が人間界に来られるのは、あなたの心の力の外在的な現れであり、あなたの信念の具現化なのです」ミカエルは彼の無力な両眼を見つめ、一言一言はっきりと言った。
「もしあなたが自分自身を信じられず、心の内なる光を灯せなければ、私は…あなたの呼びかけに応えられず、ここに顕現することもできません」
「ですから、どうか」彼女の口調は励ましと確固たる意志に満ちていた。
「ご自身を信じてください、緋夜様」
「どんな困難にも直面し、打ち勝つ潜在能力と勇気を、あなたがお持ちだと信じてください」
「ミカエル、俺は…」緋夜は眼前の絶対的な力を持ち、戦神のような天使を見上げ、心の奥の劣等感が蔦のように絡みつき、ほとんど窒息させそうだった。
口を開けたが、自分を否定する言葉を口にする勇気はなく、怖かった…もし口にしたら、この貴重な姿がまた泡のように消えてしまうのではないかと。
「ミカエル」冷たく、馴染み深く、しかし骨の髄まで凍る声が、毒蛇のように迷宮入口の方向から響いてきた。
それはミカエルの魂に刻まれた声だった。
漆黒の長髪を持つ悪魔が、ゆっくりとこの銀色の領域に足を踏み入れた。
彼女の血のように深紅の魔瞳は、真っ先にあの眩い金色の姿をしっかりと捉え、複雑で判別しがたい、しかし非常に熱い渇望――数百年を超える執念――を滾らせていた。
彼女の残る片翼の黒い翼が完全に迷宮に入ると、空間全体の空気が重苦しく粘り気を帯びたかのようになった。
彼女はそこに立ち、夜の化身のようで、聖なる光と極限の対照を成していた。
「ルシファー…」ミカエルの身体は瞬間に硬直し、金色の瞳に前代未聞の深刻さと警戒が満ちた。
彼女は一瞬の躊躇もなく身を翻し、自分のかっちりとした身体で緋夜を厳密に背後に隠した。最も堅固な盾のように。
「ミカエル…」ルシファーが口を開けた。その声には奇妙な、ほとんど病的な懐かしさと渇望が込められていた。
「本当に…お前が恋しかった」彼女の絶世の美貌に浮かんだその微笑みは、銀月の冷たい光の下で、妖しく歪んで見えた。
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「魔界へ戻ろう、ミカエル」ルシファーは数百年思い続けた存在へ向けて、白くも破滅をもたらすその手を差し伸べ、拒否を許さない招待を発した。
「断る、ルシファー」ミカエルの答えは一刀両断、一瞬の躊躇もなかった。
彼女の海のように深い青い瞳は、平静でありながらも揺るぎなく、ルシファーの攻撃的な紅い瞳に向き合った。
「お前一人で帰れ」ミカエルの声は氷のように冷たく、越えられない立場を宣告した。
ルシファーの顔の偽りの微笑みは瞬間に凍りつき、剥がれ落ちた。差し出した手は空中で硬直し、その後ゆっくりと、完全に侮辱された冷たい怒りを帯びて、体の横に下ろした。
空気中の重圧感が急激に増し、銀色の月光さえも幾分か薄暗くなったようだった。
「あの忌々しい『X』のせいだ」ルシファーはうつむき、呪いのように怨念と諦めきれない気持ちに満ちた声で呟いた。「X」――それは彼ら天使が口にできない存在だ。
「俺たちを無理やり引き離した…」彼女は猛然と顔を上げ、深紅の瞳孔をミカエルに釘付けにし、歪んだ所有欲を帯びていた。
「さもなければ俺たちは…本来一体だったはずなのに…」その口調は、無理やり引き裂かれた血肉の繋がりを語っているかのようだった。
(ミカエル…ミカエル…俺のミカエル…)心の奥底で狂ったような呼びかけが溶岩のように滾る、彼女の口元は、しかしこの瞬間ゆっくりと上がり、背筋が凍るような、破滅欲に満ちた弧を描いた。
背中の残る片翼の黒い翼は、主人の感情を感じ取ったかのように、猛然と完全に上へ広がり、一本一本の羽根が濃密な悪意に浸透されたかのようだった!
「それならば…」ルシファーの声は急に冷たくなり、九幽の寒風のようだった。
「俺が…無理やり連れ戻してやる!」言葉が終わらないうちに、彼女の深紅の魔瞳は毒蛇のようにミカエルの背後にいる緋夜を捉えていた!
「ジリリリ――!」緋夜はその不気味な音を追って視線を移した。目尻にはまだミカエルを思って零れた涙が残っていた。
耳をつんざくような鋭い叫び声が予告なく緋夜の耳元で炸裂した!破滅的なエネルギーが瞬間に凝縮!
「緋夜様!」ミカエルの反応は稲妻のようだった!
彼女は猛然と身を翻し、自分自身の背中全体で緋夜を完全に包み込んだ!
「ドカゴォォン――!!!」
耳を劈く爆発音が迷宮の静寂を引き裂いた!
狂暴なエネルギー衝撃が銀色の塵と岩の破片を巻き込み、破壊的な勢いでミカエルの立っていた場所を襲った!
爆発の余波がまだ収まらない中、煙塵が立ち込める中で、ミカエルにしっかりと守られた緋夜は震えに震えた目を開けた。
「ミ、ミカエル…?」震える声には信じがたい恐怖が込められていた。
目に飛び込んできたのは、ミカエルの失われた右腕全体だった!肩から根元まで綺麗に切断!
切断面は不安定な聖なる白光を放ち、血はないが、心が砕けるような欠落感を漂わせていた!あの巨大な光の剣も消え失せていた。
「大丈夫です」ミカエルの声は相変わらず落ち着いていたが、よく聞くと微かに気づきにくい弱さがあった。彼女は失った腕すら見ようとしなかった。
「失礼」残った左手で、より強く、ほとんど緋夜をはめ込むようにぎゅっと抱きしめ、彼を自分の守護の中に溶け込ませようとした。
背後の純白の翼が猛然と強い光を放ち、力強く一振りした!
「ビュンッ!」
強風が煙塵を巻き上げ、ミカエルは緋夜を抱き、放たれた矢のように天高く舞い上がった!
瞬間的に爆発の中心を離れ、迷宮の銀月に包まれた深遠な空へと疾走していく!
その姿は巨大な銀月の背景に映り、急速に小さくなった。
ルシファーはその場に立ち、上空へと遠ざかり、銀色の空に溶け込んでいく二つの影を見上げた。
彼女はゆっくりと、優雅に背中の堕落と権力の象徴である片翼の黒い翼をたたんだ。
周囲の魔物は無言の召喚を受けたかのように、より狂熱的に彼女の周りに集まり、ひれ伏した。
「ミカエル…」彼女はこの名を低く呟き、深紅の瞳孔には怒りはなく、むしろ背筋が凍るような、ほとんど狂信的な興奮の光が宿り、口元が歪んで狂気の微笑みを浮かべた。
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ミカエルは緋夜を抱き、銀月迷宮の奇妙な空を高速で飛行していた。下方は果てしない、銀色に微かに光る連なる樹海、頭上は手が届きそうで届かないほど巨大な、冷たい銀月だった。
「ミカエル…あ、あなた、本当に大丈夫なの?」緋夜は唸る風の音の中、必死に顔を上げ、ミカエルの欠けた右肩に視線を釘付けにした。
聖光を放つ切断面が彼の目を焼くようだった。ラファエルも似たようなことを言っていたのを思い出した…
「天使は死にません」ミカエルはうつむき、慰めるが幾分青ざめた微笑みを見せた。声は相変わらず優しかったが、かつての底力は幾分欠けているようだった。
初めての高高度飛行を体験している緋夜だったが、今は下方の夢幻的な銀色の世界を楽しむ余裕は全くなかった。
彼の注意のすべてはミカエルの傷と、彼を完全には安心させられないその言葉に占められていた。
「迷宮内で彼女と正面から戦うのは…賢明ではないでしょう」ミカエルは気軽な口調で説明しようとしたが、懐の少年を過度に心配させたくなかった。しかし、瞳の奥の深刻さは隠せなかった。
(ここの空間法則は魔界に近く…私の力は人間界よりもさらに強く制限されている…)彼女は腕の再生が遅い切断面を感じ、心は重かった。
これはほとんど悪魔の本拠地であり、彼女にとって非常に不利だった。
「まず彼女を入口エリアから引き離し、機会を伺ってギルドに戻りましょう」ミカエルはそう言うと、背中の翼をさらに強く羽ばたかせ、加速を試みた。
「ミカエル…」緋夜は彼女の首をしっかりと抱きしめ、声には隠しようのない恐怖が込められていた。
「また突然…消えたりしないよね?」彼は彼女の首筋に顔を埋め、わずかな幻想の安心感を求めていた。
ミカエルの飛行の動作がわずかに止まり、懐で震える少年を見つめた。
「あなたが信じてくださる限り」彼女の声は優しくも確固としており、最も厳かな約束のようだった。
「私の存在を、私たちの絆を信じてくださる限り…」
「私は永遠に消えたりはしません」
「私を信じてください」彼女は残った腕をぎゅっと締め、彼をさらに強く抱きしめ、まるで自分の信念を伝えようとするかのようだった。
「それと…」
「どうか、ご自身を信じてください」ミカエルの深い青い瞳は、励ましと信頼の光を宿し、彼に温かい微笑みを見せた。
緋夜は彼女を見つめ、心の中に積もった劣等感と自身の弱さへの認識が、巨石のように喉を塞ぎ、心の底にある本当の言葉を口にできなかった。
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「キィィィィーッ!」鋭い鳴き声が天を劈いた!
いつの間にか、漆黒の翼を持ち、両眼が紅い飛行魔物の群れが黒雲のように集結し、四方八方から包囲網を敷いて彼らの進路を遮った!
鋭い爪と牙が冷たい光を放ち、口からは腐食性の黒い霧を噴出していた!
ミカエルは高度を下げざるを得ず、緋夜を抱いて比較的開けた銀色の草原に降り立った。周囲の茂みから、さらに多くの姿形の異なる魔物が姿を現し、彼らを包囲し、天羅地網を形成した。
「数が多すぎる…」ミカエルは眉をひそめ、急速に迫る魔物の大軍を見渡した。
「直接他の入口へ強行突破するのはおそらく…」彼女は無意識にまだ再生していない右腕の切断面を触り、金色の瞳は素早く遠くの地形を掃視し、突破口を探した。
(今は緋夜様を連れて、それに右腕も失い…空中戦はリスクが大きすぎる…)
危機が至る所に潜むこの瞬間、緋夜はミカエルの深刻な横顔を見つめ、自分を守るために欠けた身体を見て、決死の勇気が突然心に湧き上がった!
彼はもう躊躇わず、猛然と両手を上げた――
「パンッ!」
澄んだながらも場違いな拍手の音が、魔物の咆哮の中ではっきりと響き渡った!
ミカエルさえもこの突然の音に驚いて振り向いた!
「ラファエル!」緋夜は目をぎゅっと閉じ、全身の力で大声で呼んだ!
彼は気づいていなかった、彼が名前を叫んだ瞬間、温かくも揺るぎない翠緑の光が、既に彼の目の前で輝き始めていたことに!
「あなたの召喚に応え、大天使ラファエル」穏やかで落ち着いた声と共に、柔らかな碧緑の長髪の姿が、生気に満ちた緑の光の粒を伴い、優雅に二人の前に降り立った。
この馴染み深い声を聞いて、緋夜はようやく慎重に片目を開け、こっそりと覗いた。
「成…成功した?」彼の声には信じがたい驚きと不安が満ちており、自分の目を信じられないようだった。
「お怪我はありませんか、緋夜様?」ラファエルは振り返り、相変わらずあの象徴的な、安心させる穏やかな微笑みを浮かべ、碧色の瞳は心配そうに彼を見つめた。
「俺、俺は大丈夫!大事なのはミカエルだ!」緋夜は慌ててそばのミカエルを指さし、声は焦りに満ちていた。
「ラファエル!ミカエルの腕を治せるか?」彼は期待に満ちてラファエルを見つめたが、心の奥に説明しがたい違和感がかすかに掠めた。
「問題ありません」ラファエルは微笑んで応えると、すぐに身を翻し、ミカエルの傷を調べようとした。
ラファエルが身を翻したまさにその刹那――
「ズブッ――!!!」
頭皮が痺れる、布が巨力で引き裂かれるような鈍い音が突如として爆発した!
何の予兆もなく!ラファエルの上半身は、彼女の穏やかな微笑みも、碧緑の長髪もろとも、緋夜とミカエルの魂が抜けるような視線の前で、まるで見えない巨爪に引き裂かれたかのように!
瞬間に無数の微かに光る翠緑の光点へと変わり、空気中に消え去った!
腰から下だけが、糸の切れた操り人形のように、冷たい銀色の草原にぐったりと倒れ、すぐに光点となって消えた!
ミカエルが猛然と見上げた!
見ると、銀月を隠すほど巨大な漆黒のカラスが、深淵からの悪夢のように、音もなく彼らの頭上に浮かんでいた!その紅い両眼は二つの地獄の提灯のようだった。
カラスの広い背中に、傲慢の罪ルシファーが優雅に腰かけていた。
彼女の残る片翼の黒い翼は怠惰に広がり、天を覆っていた。
無数の漆黒の羽根が、死の雪のように、高みからゆっくりと舞い落ち、下方の驚愕した二人を覆った。
「ミカエル~」ルシファーは下方の金髪の天使を見下ろし、猫が鼠を弄ぶような残酷な愉悦を浮かべ、声は蜜のように甘いが底冷えするものだった。
「見つけたわ」
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