第十三話 彼の加入
第十三話 彼の加入
「へえ~天使ってそんなにいるんだ……」興味深そうに言う。
目の前の緑の長い髪をした天使、大天使ラファエル、治癒を司り、
男女の区別がつかない美しい顔立ちをしている。
ミカエルは少し離れた場所で魔物を倒しながら、時折こちらを見る。
(二人……楽しそうに話している……)心の中で思う。
「人間界で有名なのは私たち大天使でしょう:
ミカエル、ガブリエル、ウリエル、私、それにラグエル、サリエル、レミエル」
ラファエルが紹介する。
「後ろの三人は聞いたことないな」主人公は好奇心に満ちた声。
「彼らは魂を扱う天使ですから――」
「死んだら会えるかもしれませんね~」微笑む。
「そんな怖いこと言わないでよ!」
「死は怖いことではありません」ラファエルが言う。
「だ、だって天使はわからないでしょう……」
「『死ねない方が怖い』って説もあるじゃない」
天使は死なない、永遠の存在だ。
主人公は彼を見つめる。
「君たちは苦しいの?」尋ねる。
「いいえ」ラファエルが口を開く。
「私たちは苦痛を感じません」
「でもミカエルはいつも色んな感情があるみたいだ……」記憶の中のミカエルを思い出す。
「それは彼女が人間に最も近い天使で、多くの人間の感情を感じ取っているからでしょう」
「そうなんだ……」一人で戦うミカエルを見つめる。
「内緒ですが、ミカエルは昔笑わなかったんですよ」
「マジで!?」
「天使なのに?」
「天界には笑わない天使も多いです」ラグエルもそう。
「ミカエルは昔から表情が厳しく、滅多に笑いませんでした」
「戦いの中だけ笑みを浮かべ、昔の人々から『血塗れ殺戮天使』と呼ばれていました」
「初耳だ……」
「人間の天使像に合わないからでしょう」
人々によって改変された。
「でもミカエルは人間と接するうちに、人間の感情を真似るようになりました」
より良く人間と関わるために。
「なぜ『真似』って言うの?」
普通は『学ぶ』じゃない?
「本来の性格以外の行動は、全て真似と言うのでは?」
「私たち天使は性格を変えられません」
「ラファエルが僕と話す時の笑顔も真似?」目の前のラファエルを見る。
「違います」
「あなたが見ている私は、全て本当の私(大天使ラファエル)です」
―――
「今日の魔石の量はすごいですね……」
受付嬢はテーブル上の魔石を確認する。
「ラファエルさんが加わったからですか?」
自然と距離を縮める。
「いいえ、私は戦闘能力がなく、ほとんどミカエルが倒しました」
小さい魔石だけは私が取り出しましたが。
「あの、ラファエルさん、お聞きしたいのですが……」頬を染めながら質問しようとする。
「あの人だ!」他の女性職員も駆け寄ってくる。
「お名前は?」
「どちらからいらしたんですか?」ギルド職員たちに囲まれる。
「く、くそ……」受付嬢は人群の外でがっくり。
「この中には既婚者もいるのに!」
結婚している人も。(何騒いでるの!)
憤慨しながら拳を握る。
「あの……大丈夫ですか?」ミカエルがしゃがみ込み、手を差し伸べ、
優しい声で尋ねる。
「ミカエルさん……」こちらも美人だ。
「そうだ、ミカエルさん!」
「ミカエルさんとラファエルさんは……お付き合い中の関係ですか!」
肩を掴んで熱心に尋ねる。
「私たちは親戚のようなものです……」どちらも大天使。
(一緒にいられるのか?)ミカエルは困惑する。
「じゃあラファエルさんは独身ってことですね!」
受付嬢は興奮して叫ぶ。
「それは……」(独身?聞き慣れない言葉)
ミカエルは考え込む。
「ミカエル!」主人公が呼ぶ。
「武器買ってもいい!?」遠くから興奮して叫ぶ。
ミカエルは主人公の元へ歩み寄る。
「ミカエルさん、人間の言葉をよく知らないみたい……」
受付嬢は後ろで思案する。
「それに名前が天使そのものだ」
ラファエルさんも。
「何か関係があるのかしら……?」
「田舎出身だからでしょう、ははは」
何となく納得。
「天使の名前を付ける人も珍しくないし」
「ただ天使そっくりな見た目の人は滅多にいないけど」
―――
「どうされましたか、緋夜様?」ミカエルが側に寄る。
「これ」ショーウィンドウの短剣を指差す。
「買ってもいい?」期待に満ちた目で見つめる。
「緋夜様がお望みの武器は、何でも自由にお選びください」
「私の意見を伺う必要はありません」
ミカエルは優しく言う。
「で、でも今日はせっかく集めた魔石を使うことになるし、ミカエルはもう少し待てって言ったのに……」
「それにこの魔石全部ミカエルが倒したものだし……」
落ち込んだ声。
「気になさらず、これらの魔石は自由にお使いください」
「全て緋夜様のものです」
ミカエルは微笑み、いつもの思考モードに入る。
(私が焦りすぎていたのでしょう、ラファエルが召喚されるとは……)
緋夜様を急かさない方が良さそう。
(でもラファエルが緋夜様と楽しく話せているなら良し、ウリエルだったら……)
ミカエルは厳しい表情で考え込む。
「あ、あれがミカエルの本来の姿なんだ……」
傍らで小声で呟く。
(確かに近寄りがたい雰囲気だ……)
「で、でも魔石は自由に使っていいんだ……」
背中のリュックを前に下ろし、換金しなかった魔石を見つめる。
「きゃ、キャラメル!」魔石の山に飛び込み、座り込んでこっちを見る。
「まあ、時期かな……」リュックの中のキャラメルを見て、決意を固める。
「早く帰ろう!ミカエル、ラファエル!」
興奮して走り出す。
「お待ちください、緋夜様!」
ミカエルが慌てて後を追う。
ラファエルは二人を見て微笑む。
「失礼、先に失陪します」
人混みを抜け、二人の後を追った。
―――
家に到着する。
「幻獣を召喚するんですね?」
ラファエルが興味深そうに見る。
「そうだよ!」慎重に魔石を積み上げる。
ミカエルも傍らで見守る。
「よし」積み上げた魔石の山を見下ろす。
「ラファエルを召喚した時より少ないから、また天使は来ないよな……」
心配そうに見る。
「緋夜様は天使の召喚がお嫌いですか?」
ラファエルが尋ねる。
「い、いや、ただ……」慌てて説明しようとする。
「急に人が増えると、周りが怪しむから……」
それに今日ラファエルが囲まれた様子。
ミカエルが初めてギルドに行った時と同じだ。
「ですが、召喚主が望まなければ、私たちは呼ばれませんよ」
ラファエルが言う。
「そ、そうなの?」
ミカエルに確認するように視線を移す。
「ミカエルを召喚した時、何を考えていましたか?」
「それは……」




