第十話番外編 地獄のキャンプ飯
ストロント町でアーチボルド団を撃破したリックたち。ーーだが、そんなリックたちに新たな危機が訪れようとしていたーー。
「よし、今日こそは私が料理をするわ!」
ヘレナの宣言に、僕ら一同は凍りついた。
「ま、待て! 前回は鍋が爆発したんだぞ!?」
「だから今回は改良してもらったのよ。……なんと圧力三倍の新型鍋!」
「それは改良じゃなくて、もはや兵器だろ!」
こうして、史上最悪のキャンプ飯作りが始まった……。
料理を開始してから数分後――
「火加減はどうかしら?」
ヘレナが鍋を覗き込んだ。
「おい、弱火って言っただろ! なんで炎が青いんだよ!」
僕の叫びに、ロイドが腕を組んでうなずいた。
「これは弱火じゃない。もはや、錬金術の失敗だ。」
「料理を科学するな!」
鍋の中では、何かがぷくぷくと泡を立てていた。
時折、謎の光を放ちながら――。
「……これ、本当に食べ物?」
ヴィクトリアが眉をひそめる。
「大丈夫よ、ちゃんと味見したんだから!」
「味見!? いつ!?」
「さっき、ちょっと舐めてみたの」
「で、舌の色どうなってるの?」
「……紫?」
「それ大丈夫じゃないじゃない!!」
とうとう、料理が出来上がった。
「だ、誰から食べる?……」
「お、俺は無理だ。……リック、リーダーなんだからお前が食べろよ」
ボルトは僕にそう言ってきた。
……確かにリーダーなんだ。
僕が食べるしかない。
「父さんの教えを思い出せ……」
パクッと僕はそれを口に入れた。
ドサッ!
「リック〜!!」
数十分後、僕はヴィクトリアの治癒魔術によってなんとか回復して目を覚ました。
「ヘレナの料理はダメだ。そもそもあんなの料理とは到底言えない。次はロイドが作ってくれ」
ロイドは静かにうなずいた。
……
「理論的にはこうすれば完璧なはず……」
ロイドがそう言いながら見つめていた鍋からは煙が出ていた。
「おい、ロイド。焦げてるんじゃないか?」
「……」
ドサッ
ロイドはその場に倒れ込んだ。
「ロイド〜!!」
「しょうがないわねぇ〜、私が作るわ!」
ヘレナはそう言いながら第二の鍋に火をかけた。
「ふふっ、今度こそ完璧よ!」
「お願いだから"完璧"って言葉使わないで……」
ヴィクトリアはため息をついて言った。
「……もういいわ。こうなったら次からは私が料理するわ!」
その宣言に全員が顔を上げた。
「ヴィクトリア、覚悟はあるのか?」
「あるわ。誰かがこの"食の地獄"を終わらせなきゃ」
これでやっと平和になる。
だが、僕の心にはなにか拭いきれない不安があった。
次回からは第二章に入ります。
更新が遅くなってすみませんでした。




