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二足歩行の魔物。

第二話を少しいじりました。カイトの見た目について書き足したのでよろしくお願いいたします

カイトにまたがり湖まで案内した後、俺は「このあたりで」と適当に場所の指定をして食料を探し始めた。だが俺が一つ食料を探し出すたびにゴーレムは手を叩いて祝福をしてきた。


最初はなんだか気分がよくなっていたのだが一つ取るたびに拍手されてなんだか接待を受けている気分になりすぐに嫌になってしまった。


近くにある岩に座りゴーレムの動きを見ることにしたのだがゴーレム達は思った以上に仕事ができるタイプのようで、あっという間に近くに生えている巨木を手刀で切ると枝を切り落とし丸太を作りだしていた。というよりも手刀で木が切れるものなのか?と考えたがファンタジーなんだと無理やり納得した。


だがしばらくすると切り落とした枝を使って斧やスコップなどを作り出したためやはり無理があったのだと思う。しかし斧やスコップに使っているあの石はどうやって加工したのかが分からない。


十分ほどで板を作り出し、さらには家の土台を作り始めたのだ。このゴーレム達は恐ろしく器用で味方につけてよかったなんて考えていたが「このままでは俺いらないんじゃないか?」と不安になり始めたので食料を集める作業を再開した。


しかし俺が作業を再開する頃には木の実やキノコ以外にも魚や肉などが集まっていた。どこから捕ってきたのかと思ったが普通に湖に沈みながら魚を取ったり、狩りをしてきて肉を調達しているらしい。


食料を調達するのは諦め何か手伝おうとしたがゴーレム達に手を振って拒否されたのでもう一度岩に座りなおした。


しかし俺が休んでいる間もゴーレム達はどんどんと作業を進めるためもう一度何か手伝えないかと聞いたがまたしても断られた。


そわそわとしながらゴーレムの仕事を眺めて何か手伝えないかと考えていたがイーサンが俺の事を見つめて首を振ってきたためもう諦めることにした。俺だって少しは手伝えるのになぁ。


完全に子供を見守る親と化していた俺だったがしばらくして三体のゴーレム達が俺の元へと食料を持ってきた。目の前に山のように置かれる果物や草。さらにはキノコや肉など様々な食料が混じっている。


しかし肉や果物は俺の目から見ても食べられそうなものは区別がついたのだが、キノコや草に関しては全く分からなかったためアリスを呼んだ。


俺は「食べられそう?」とアリスに聞くとアリスは食材の匂いを嗅ぎ始めた。アリスは賢いらしくどうも俺の言葉を理解して動いているきがする。前足や口を使って食材を左右に並べ始めると右に置いた食料を見て「わん!」と吠えた。


右側に置かれた食料を見るとなんとなく色合いがいい草や魚。左に置かれた食料を見ると毒々しい見た目をしたキノコや棘の生えた魚だった。


アリスに「こっちは食べられるの?」と聞くとアリスは尻尾を振った。どうやら食べられるらしい。


しかし左側に置かれた食べ物の山をどうすればいいのか分からず首を傾げた。食べられないかもしれない食べ物だが命を奪った以上なんとかできないかと考えたが俺にそんな知識はなかった。するとスラ君がちょんちょんと俺の肩を叩いてきたため左腕を見ると自分を指(?)指していた。


「ん?なにかあったのか?」


答えは返ってこなかったがスラ君は自分の体を伸ばすと毒々しい色のキノコを体内に取り込み溶かし始めた。俺は慌ててスラ君の中にあるキノコを取り出そうとしたが一瞬で溶けてしまった。


その後スラ君が死んでしまったり体調が悪くなったりしないかとビクビクしながら見ていたがスラ君は平気な顔をして次々と食べられないゾーンの食べ物を体内に取り込み始めた。


取り込んだ端から溶かしていくためこれは食事なのか?と疑問に思ったがスラ君はいたって楽しそうに取り込み続けていたのでよしとしよう。だが…。


「俺の腕は溶かさないでね?」


間違って溶かされたなんて言ったら俺の左腕がなくなってしまう。


しかし目的の食料確保がこれで済んだので安心した。保存方法がないため腐りやすい物から処理して食べていかなければならないのが難点だが。


俺は食材を持ってきてくれたゴーレムを見るとありがとうと言った。ゴーレムは照れているのか頭を撫でてヘコヘコしたり顎をかいて空を見上げていた。なんとなく人の仕草みたいで可愛らしいな。


俺はこの身の回りの世話をしてくれるゴーレム達に名前を付けることにした。まずはイーサンとは違い少し大きめのゴーレムが『リャン』。小さいゴーレムが『サン』。イーサンと同じ大きさだが玉の色が赤いゴーレムを『スー』と呼ぶことにした。


するとその光景を見た家づくりをしているゴーレムがジーっと見てきた。名前を付けてあげたいが正直顔はみんな同じのっぺらぼうだし、名前を付けたゴーレム以外は見分けがつかない。まず麻雀牌は九までしかないのだ。百二なんて数字を中国語で何というかなんて知らない。


そんなくだらないことを考えているとカイトが他の馬を連れて戻ってきた。するとカイトを前にして他の馬たちは全員横一列に並んで頭を下げてきた。なんだか某有名アニメ映画の王様の子供が生まれたシーンを思い出した。俺はジャングルに迷い込んで虫を食べて生き延びたりしないぞ。


よくわからなかったため俺は立ち上がって一匹ずつ頭を撫でておくことにした。今更だがカイト以外の馬たちは少し小さめで鬣も少し短い。威圧感はカイトより小さいので少し安心する。


俺が合計16体の馬へ挨拶すると馬たちは湖へ戻っていった。ご近所さんになるから挨拶に来てくれたのだろうか?


馬たちの挨拶が終わった後俺は座っていた岩の元へ戻ると横になっていたアリスを撫でまわすことにした。家はもう少しかかりそうであったし、何よりも大きな犬が寝ているのを見るとモフりたくなったのだ。


しかしモフったはいいがアリスの毛並みはふわふわではなくごわごわとしていた。さらに毛の中には葉っぱや毛玉などがあり触り心地はよくなかった。野生の動物なのだから仕方ないといえば仕方がない。だがやっぱり許せないのでどうにか石鹸を作ってゴーレム達に洗ってもらうと決意した。


そんなことを考えていると一体のゴーレムに肩を叩かれた。振り向くとウキウキしながら指をさしていたので家ができたのかと振り向くとそこには家はなかった。


「ふごっ」


豚がいた。それも二足歩行で大きな豚だ。


「なっ…!」


驚いて思わず後ずさりをしてしまう。顔は豚だが二足歩行の生き物。恐らくばアニメなどで見るオークというやつなのだろう。


オークの姿を見るとなんだか傷だらけで手は縛られていた。さらに後ろには何十頭ものオークがズラッと同じように怪我をして手を縛られて並んでいる。


「え、なに、これはなに?」


どういった経緯で彼らが並ばされているのかが理解できず俺はゴーレムに聞く。ゴーレムからは返事はないがアリスの近くへオークを連れて行くと匂いをかがせた。するとアリスは右側の食べ物の方を指す。


「…食べ物ってこと?」


俺の問いにゴーレムはぐっと親指を立ててきた。


「食べれるかぁ!」


俺はゴーレムへ縄をほどくように指示をしオークたちの怪我を確認した。幸い致命傷になりそうな傷はなかったがたんこぶや痣ができていて痛々しい。一匹一匹に謝り全員の無事を確認するとゴーレム達を軽く怒った。恐らくは俺のためだろうが流石に二足歩行の生き物を食べる勇気はない。


「ふごふごっ!」


なんだかお礼を言っているように見える。完全に俺のせいなんだけどね。


そして俺はまた肩を叩かれたため振り返ると別のゴーレムがいた。なんだか嫌な予感がしてゴーレムの後ろを見ると今度は二足歩行の牛が縛られていた。おそらくはミノタウロスだろう。


「解きなさい!」


俺は再びゴーレム達を説教した。俺のためなのは嬉しいが二足歩行の生き物は食べたく無いと伝えるとがっくりと肩を落としていた。


恐らくこの二体は褒められているリャンたちが羨ましくてこのようなことをしたのだろう。俺はこの危険な行動をとる二体のゴーレムを今後も監視するため『アルファ』と『オメガ』と呼ぶことにした。


しかし俺が名前を付けると二人はハイタッチして喜んでいた。あ、褒められたくて連れてきたんじゃなくて名前が欲しかったのね。


だが問題が残っている。この連れてこられたオークとミノタウロスと思われる生き物たちだ。なんとかけがを治してあげたいが残念なことに治療アイテムが何もない。


「…よかったらしばらくここで暮らすか?」


見た目は二足歩行であれだがオークもミノタウロスも顔だけ見れば豚と牛だ。とても可愛らしいく以前遊びに行った子豚カフェと牧場を思い出す。


そんなわけで愛着も沸いてしまったため俺はそんな提案をした。


オークとミノタウロスは困ったように顔を合わせオロオロとしていたがしばらくして俺の後ろを見て動きが固まったかと思うと大きくうなずいていた。


何かがあるのかと思い振り返ってみるがアルファとオメガがいるが二人とも何も動いていない。他の何かがあったのだろうか。


しかしこうして動物が増えるというのはとても嬉しいことだ。どこかもわからない世界で独りぼっちというのは寂しいものだ。


こうして俺の仲間にオークとミノタウロスが加わった。

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