表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/20

ワンフォアオール・オールフォーワン

いつもありがとうございます。てんこです。


ツイッターを始めてみました。@tenko_narou0046でぜひ検索をお願いいたします。


『今は王都歴何年なのだろうか。あの日の光景は昨日のように感じているのにこの世界の自分がどんどん年老いていくのを見るとかなりの時間がたったのだろう。最近はゴーレム達が歩いている姿をただ見つめているだけの毎日だ』


『手を引かれ連れていかれた場所は先日まで何もなかった大きな図書館だった。いつのまにか多くの本が棚に収まっていた。全て著者不明の本だが恐らくゴーレム達が作成した本だと思う。人間との交流は避けているからな』


『ただボーっとする日々から図書館にある本を読み漁る日々へと変わった。書いてある内容のほとんどは俺がこの世界で身に着けた魔法の知識ばかりだった。俺の魔力を使って作ったことにより知識が移ったのだろうか。そうなると魔力を使って思念を伝達することが可能なのか?』


『ゴーレムと魔物が話しているかのような風景を見て気づいたが恐らく本当に彼らはコミュニケーションをとっているのかもしれない。ただ声帯を持たないゴーレムはどうやって相手に意志を伝えているのだろうか』


『観察を続けて分かったが彼らが会話と思しき動作をする際には魔力の波が出ているいることに気づいた。振動を使って言葉を発する仕組みと同じだろうか』


『なんとか彼らとコミュニケーションを取れないかと考えたが難しかった。俺の言っていることは理解できるが逆に彼らが伝えたいことは魔力を介してもただの波であってその波形にパターンはなく一定の波でしかない。別の方法を試す』


『文字を使ったコミュニケーションを取ろうと試みた。だが彼らは文字は書けるしそれを文章として認識できているのに俺の書く文字は文章として認識できないし、俺に文章として書くことができない。まるで何かが邪魔をしてわざと彼らの言葉が俺に届かないようにしているかのようだ』


『本に書かれた文字を使ってコミュニケーションをとろうとしてみた。だがやはりコミュニケーションをとることはできなかった。やはり何かが邪魔をしている』


『なぜ俺はこんなにも彼らとコミュニケーションをとろうと必死なんだろうか』


『彼らと会話をしてみたい。なぜ俺の傍にいるのかを知りたい』


『彼らに伝えたいことがある』


日記からひしひしと伝わる思いがあった。かつて俺も感じたことがあるものだった。


帰っても一人の部屋。深夜までパソコンの画面を眺めただ動画を見るだけの毎日。会社に行って「おはようございます」と「お疲れさまでした」しか言わない毎日。通勤や帰るときも一人でスマホでSNSを眺める毎日。


そんな毎日でも耐えられたのは休みの時に会っていた動物たちであった。普段は心の中にある物もその時だけは耐えられた。


だけどその思いは消えることなく、帰路についている時にまた重くのしかかる。


孤独だ。


人は一人でも何とか生活はできる。だがそれでも他者との関わりは捨てられない。


その時に真の意味で人間は一人だけでは生きていけないと実感するのだ。


そうした時に俺もよく考えた。なんとか動物たちと会話ができないかと試した。


しかし違う生き物だ。そんなの夢物語だった。


そのことを実感するたびに悲しくなった。


だけど諦めきれずに動物の仕草や感情を何とか理解しようと本を読み漁りコミュニケーションをとろうとした。


少しは理解できるようになっても、それは真の意味でのコミュニケーションではなかった。一方的であり自己満足でしかなかった。


そうしてまた深い孤独にのまれていった。


彼も。加藤ケンイチも恐らく同じなのであろう。


深い孤独の中でもがいていたのであろう。


そうしてもう一度日記へと目を落とした。


『朝からグゥが騒がしくて見てみると来訪者がいた。どうやらこの辺りに勢力を伸ばしている魔族の吸血鬼だ』

いつもありがとうございます。てんこです。


ツイッターを始めてみました。@tenko_narou0046でぜひ検索をお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ