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『加藤ケンイチ』

今回グロ注意です。


グロ注意です。


正直こういうシーン書きなれてないのでどうしていいかわかりません


言葉が出ませんね。


グロ注意です。

『まず僕がこの世界に来たときはトリスという小さな町の近くにあった森の中に転生していた。いきなり森の中ですごくびっくりしたのを覚えているよ。真っ暗な森の中なんて子供の頃以来入ったことなかったし。だけど少しして大人の人が松明を掲げながら僕を探しているのが分かったからその光に駆け寄っていったんだけどね。そこでどうやら僕はこの世界に転生して『リーシュ・グレイモア』っていう小さな町の領主の息子ってことが分かったんだ。』


『こちらの世界の両親や町の人の話を聞くとどうやら僕は友達と遊んでいたら森の中ではぐれて行方不明になっていたみたいなんだ。だけど後で分かった事だけど、どうやら虐められていたらしく森の中で置き去りにされていたみたいなんだけどね。あとでその虐めてきたやつらはコテンパンにしてやったけど。まぁそんなこともあって町の領主としてきちんと勉強して『王都ベルガリヤ』の貴族学校に入学して八年間勉強して生徒会長をやったんだ。そこで知り合った『クイズ・マカルシア』っていう女の子と恋に落ちて結婚することになったんだ』


『だけどすぐには自分の領地には戻らないで社会勉強のために冒険者ギルドに入って冒険者として活躍したんだ。流石転生者って感じだったよ。僕は魔法の才能に溢れていてこの世界じゃ『賢者』なんて呼ばれていたよ。クイズも喜んでくれていたな』


『そんな感じで順風満帆な人生だったけど、ある日僕は気づいてしまったんだ。この世界に存在している魔獣。彼らはコミュニケーションを取り、それぞれ部族がありそこで暮らしていることを。つまり人類の敵であると考えていた彼らには知恵があり交流を取れるという事を。もちろん長い歴史で争っていたこともあってなかなか距離は詰められないけど、それでも新たな一歩を踏み出せるんじゃないかという可能性を見出した。そこで僕はこの日記を書き記していこうと思う。この日記がいつか世界を変えるものにつながると信じて。』


『王都歴794年 春の月 前回から少し時間が空いてしまったが、大きな一歩を踏み出すことができた。森の奥に住んでいる『エンシェントウルフ』のリーダーらしき個体と仲良くなった。毎日肉を買って餌付けし続けた甲斐があった。最近では俺にすり寄ってきて背中を撫でさせてくれる。仲良くなったというよりも懐かれたの方が正しいのか?』


『王都歴794年 初夏の月 今日はエンシェントウルフの『グゥ』が連れてきてくれた他のエンシェントウルフたちと交流した。グゥが怪我していたのが気になったが、どうやらリーダーを決める戦いがあったらしく、グゥがリーダーになったらしい。回復魔法をかけて傷を癒してやった』


『王都歴795年 初夏の月 また日が開いてしまったが他の魔物と交流を始めた。コボルトやゴブリンといった二足歩行の魔物たちだ。彼らは器用で家を建てたりと人間に近い生活様式を送っていた。俺は前世の知識をこの二種族に教え生活をより良くしようと考えた』


『王都歴795年 夏の月 ついにクイズに魔物との交流がばれてしまった。ひどく怒っていたが何とか説得することに成功した。その代わりに彼女もここの手伝いをしてくれることになった』


「へー、この人も俺と同じように彼らと関わっていたのか」


というよりもやっぱり彼らは魔物なのか。それとは別に人間もいるのなら何とか交流はしたいな。流石にこのまま森の中で野生児のように暮らすのも悪くはないが相手がいないと寂しい。


そんな軽い気持ちでどんどんと文章を読み進めていく。ほとんどの内容がどんな種族と出会ったや彼らの暮らしがどんどん豊かになっているなどだった。そしてこの本の持ち主は彼女であった女性と結婚もして子供も生まれ順風満帆といった内容となっていた。


しかし、ある年を境に日記は書かれなくなっており、しばらくたった日付で日記は更新されていた。


『王都歴810年 春の月 日記の更新を忘れていた。息子が死んだ』


『王都歴812年 クイズが殺された』


『王都歴812年 親友に騙された』


『家を追い出された』


「……は?」


あまりにも今までの幸せとはかけ離れた内容であった。字も歪んでいて紙には血のシミや涙の後と思しきシミができていた。


パッと見でもわかるほど荒れていた内容であった。


『息子の死は息子の同級生の仕業だったらしい。家柄を恨んだイタズラの延長だったようだ。あいつらが酒場で自慢げに話しているのが聞こえた。あの子は水の中で苦しんだというのにへらへら笑っているのが許せない』


『クイズを殺した犯人が分かった。親友だったアーロンだった。落ちぶれた俺からクイズを奪おうと思ったら抵抗されて後ろから刺殺したらしい。俺からの復讐を恐れ何度もめった刺しにし確実に殺し俺をだまして地位も金もすべて奪い取ったらしい。』


痛々しい事実がつらつらと書かれていた。これをかいた時に彼はどんな気分だったのだろう。恨みを忘れないためなのか戒めなのか。


彼の悲痛な思いがその後も書かれていた。『殺す』『なんであいつが』『俺が代わりに』『本当ならあの子は今年で16歳だった』『憎い』『俺が何をした』そういった恨みが何ページにもわたり書き綴られていた。


そして彼は限界に来たらしい。


『町ごとあいつらを殺した。親父の守った土地だったが俺にはもういらない』


「………」


『あのガキどもとアーロンとあいつらの家族は最後まで生かしてやった。燃えて火に囲まれている中で貼り付けにしてやった。あいつらが泣いて謝ってきて気分がよかった。気分がよかったからまずはガキどもの親からゆっくり殺してやった。次にアーロンの息子の腹を開いて内臓をあいつの首にかけてやった。次にガキどもの彼女たちを水攻めで失神させて起こしてを繰り返してやった。女たちが殺してくれと頼むまで何度も繰り返してやった。三日かけてようやくその言葉が出たから太ももの内側を切りガキどもにくくりつけてやった。だんだん冷たくなる女たちを感じてガキどももむせび泣いてたな。気分がよかった。』


『アーロンはもうおかしくなっていたけれど顔をひっぱたいた後に娘の腕を切ってあいつの頬をひっぱたいてやったらまた泣き出した。あいつの自慢の宝剣で首を切って娘の血をバケツの中に全部出した。それであいつの顔面にひっかけてやった。何にも食ってないのにゲロ吐いてたな。ざまぁみろ。』


『先にガキどもを殺してやった。正確に言うと殺してしまった。『こんなんで息子が帰ってくると思うな』と言われかっとなってしまった。もっと苦しめる予定だったのに。』


『アーロンの嫁を殺した。よく考えれば彼女も被害者なのだ。浮気され騙されていたのだから。頭を吹き飛ばしてやった。』


『最後に残ったアーロンをほどいて昔みたいに酒を出してあいつについでやった。手が震えていたな。二人で乾杯して酒を飲み干すとあいつが償わせてくれと言ってきた。俺は無視してもう一杯ついでやった』


『そこからは記憶があいまいだったが最後はあいつが自分で自分の首を切っていたのは覚えている。』


「うっ…」


俺は気分が悪くなりその場でえずいた。読んでいて気分の悪くなるものばかりであった。ページには血のシミが増えていた。


『気分が少しは晴れた。だが今後何をしていいか分からない。全て終わった。町を燃やしていた炎は消した。煙たかった』


『炎がはれるとグゥやハレ、パトリック達の姿が見えた。どうやら心配して見に来てくれたらしい。もう何年も会っていなかったのに。今はグゥの体に寄りかかってこれを書いている。少しだが気持ちが和らいだ』


『朝起きて日記を読み返していたらまた涙が溢れてきてしまった。ハレが背中に乗せて湖を渡ってくれた。気持ちよかった。』


『気づいたら魔物の街に連れられていた。街はすごく発展していた。みんなで助け合って生活しているみたいだ。俺がいなくても大丈夫だな』


『一人になりたいのにグゥとハレがそれを許してくれない。したいことができないためゴーレムの核を作り始めた』


『まだ一人にしてくれない。ハイゴーレムの核を作ったから土で体を用意してやった。息子が生きていればこのぐらいの身長だったのかな。』


『ゴーレムが七体できた。もうやる気が起きないからゴーレムの作り方を教えた。こうしてあいつにも魔法の使い方を教えていれば。』


『ゴーレム達にグゥたちをどこか遠くに連れて行くように指示したのに言うことを聞かない。どこか回路をミスしたのか?』


『グゥとゴーレムが話していると思しき姿を見かけた。ゴーレムも話ができるのか?』


『森にいる魔物を全部集めさせた。俺がゴーレムとハレに指示すると全員指示通り動いた。どうやらコミュニケーションは何かしらの形でとっているようだ。』


『観察していると魔力の波が起こっているのが分かった。生体から発している声の波と同じようなものだろうか?』


『これでもかと指示を与えて目を盗んで逃げた。だけど近くの村に俺の手配書が張られているのを見つけた。もう居場所はないんだな。助かった』


『首を吊ろうとしていたところにグゥが現れて縄を燃やされた。もう離れてくれなさそうだな。』


『グゥを殴って逃げた。そしたらハレに追いかけられた。巻いたと思ったらゴーレムに取り押さえられた。あいつら数多すぎだろ。』


『グゥは俺が殴ったのにまだすり寄ってくる。訳が分からない。』


『今日は指示を出そうとしたけど声が出なかった。もう長い事声を発していないことを思い出した。』


『みんなが城を作ってくれた。豪華な部屋まで作ってくれたけど落ち着かない。実家に帰りたいな。』


『図書館らしき本棚がいっぱいある部屋を作っていたのを見かけた。本なんかないのに』


『グゥに愚痴をこぼしてみた。これまであった事。俺がどこから来たか。どうしていいか分からないこと。優しく顔をなめてくれた。』


『ハレにまたがって散歩をした。ケルピーは気高いなんて聞くけどこいつは人懐っこいな。』


『パトリックが怪我をして帰ってきた。どうやら新人冒険者がゴブリンだからと攻撃してきたのだろう。あまりきれいではない切り口がパトリックの腹にできていた。治してやったらすごい喜んでくれた。』


読み進めていくごとに彼の気持ちが回復に向かったり落ち込んだりと変わっていることがよく分かった。そして彼を支えてくれた魔物たちの暖かさ、優しさも感じた。


恐らく彼を慕っていた魔物たちも彼がいなくなってしまうのではないかと心配だったのだろう。


(わぅ!)


「…懐かしいな」


白っちゃけた長い毛の昔飼っていた犬を思い出した。同じように優しかったかつての親友を。


「でもここまでの日記の内容からするとゴーレムは彼の作ったものなのか。流石賢者だな」


魔法の能力はやはり高いようだ。俺と彼では何が違うのだろうか。同じ異世界から来た者同士だというのに。

そうして俺はもう一度日記に目を落とした。

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