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ある朝起きたら、ハゲていた  作者: オフコース卵焼き
悩みの章
1/3

第一話 寝耳に水

こんちわ。処女作ってほどでもないんですが、初めて作りました。なろうの仕様とか全然知らんので、目を瞑ってもらえれば幸いです。誰か読んでくれるようであればどんどん書いてこうと思ってます。


朝起きたらハゲてたら怖いなーって思って書きました。


オナシャス


 ——『寝耳に水』と言うことわざがある。

 


 思いがけないことが起こったり、思いもよらない知らせを受けたりした時に使われる言葉である。



 博識ぶったやつが割と日常会話でよく用いたり言葉であり、特に自称文系脳の理系男子に多く見られるだろう。



 晴れて今日から大学生活1年目を迎えようとする俺にとっては、「ああ、そんな言葉あったね」程度のものであった。



そんな程度の、言葉だったんだ。




——ピピピピ

 



 目覚まし時計が鳴る。昨日閉め忘れたカーテンから陽光が差し込み、まだ段ボールのある新しい部屋を照らし出す。



目を開け、体を起こして、伸びをする。あくびが出る。コーヒーを淹れるために電気ケトルを沸かす。



ああ、なんて寝覚めがいいのだろうか。オレは。


 

 新生活への明るい思いからか、いつもより明るく感じる朝日。



親に叱られることもない、完全な一人暮らしは今日から幕を開けるのだ。



6畳半は既にオレさまの城となった。



 何を隠そう、今日は大学生活1日目であり、オリエンテーションの日なのである。今日友人ができるかできないかで大きく今後4年間が左右される。いわば大学デビューの境地へ立っているのだ。



彼女ができるかもしれない。彼女ができるかもしれないのである!(早計)



 しかしながらオレこと山下 剣真(ヤマシタ ケンマ)にとってはそんな緊張感すら心地よいものであった。



つまるところ、オレはワクワクしていたし、ストレスフリーな一人暮らしが嬉しかったのである。



 湯が沸くまでの間、布団を畳んで押し入れに片付ける。顔を洗って、唯一の取り柄である我が愛しい顔を見て——。




 「えっ?え?」




 そこには、あるべきものがなかった。いや、顔はある。当然ながら顔はあるのだが——。




 「ちょちょちょちょ……え?」




 心臓がバクバクと大きく鳴っている。ここまで大きく聞こえたのは、中2の時読書感想文の朗読をクラスの前でやらされた時以来である。いや、そんなことはどうでもいい。どうでもいいのだが——。




「か、かみは…..?」




あるべきものが——




「お、おおおお、オレのか、髪いいいぃぃぃぃい!!!」

 



——無かったのである!!




 かつて絶叫するほど『寝耳に水』だったことがあるだろうか。

いや、まだ寝耳に水の方が良かった。こちとら『朝鏡にハゲ』である。



朝六時半の学生街。アパートに響いた信心深い絶叫は、4月の朝焼けに、二度寝するように溶けていった。



 アパート前で犬の散歩をしていた信心深い老人は顔を顰め、しかしその内容に神があると分かると、狂信者がいるのかとさらにその皺を深めた。



犬はワンワンと吠え始め、雀はちゅんちゅん鳴いている。




 ——かくして、19歳1浪ピカピカの大学1年生。山下剣真は朝起きたらハゲていた。

 

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