第一話 寝耳に水
こんちわ。処女作ってほどでもないんですが、初めて作りました。なろうの仕様とか全然知らんので、目を瞑ってもらえれば幸いです。誰か読んでくれるようであればどんどん書いてこうと思ってます。
朝起きたらハゲてたら怖いなーって思って書きました。
オナシャス
——『寝耳に水』と言うことわざがある。
思いがけないことが起こったり、思いもよらない知らせを受けたりした時に使われる言葉である。
博識ぶったやつが割と日常会話でよく用いたり言葉であり、特に自称文系脳の理系男子に多く見られるだろう。
晴れて今日から大学生活1年目を迎えようとする俺にとっては、「ああ、そんな言葉あったね」程度のものであった。
そんな程度の、言葉だったんだ。
——ピピピピ
目覚まし時計が鳴る。昨日閉め忘れたカーテンから陽光が差し込み、まだ段ボールのある新しい部屋を照らし出す。
目を開け、体を起こして、伸びをする。あくびが出る。コーヒーを淹れるために電気ケトルを沸かす。
ああ、なんて寝覚めがいいのだろうか。オレは。
新生活への明るい思いからか、いつもより明るく感じる朝日。
親に叱られることもない、完全な一人暮らしは今日から幕を開けるのだ。
6畳半は既にオレさまの城となった。
何を隠そう、今日は大学生活1日目であり、オリエンテーションの日なのである。今日友人ができるかできないかで大きく今後4年間が左右される。いわば大学デビューの境地へ立っているのだ。
彼女ができるかもしれない。彼女ができるかもしれないのである!(早計)
しかしながらオレこと山下 剣真にとってはそんな緊張感すら心地よいものであった。
つまるところ、オレはワクワクしていたし、ストレスフリーな一人暮らしが嬉しかったのである。
湯が沸くまでの間、布団を畳んで押し入れに片付ける。顔を洗って、唯一の取り柄である我が愛しい顔を見て——。
「えっ?え?」
そこには、あるべきものがなかった。いや、顔はある。当然ながら顔はあるのだが——。
「ちょちょちょちょ……え?」
心臓がバクバクと大きく鳴っている。ここまで大きく聞こえたのは、中2の時読書感想文の朗読をクラスの前でやらされた時以来である。いや、そんなことはどうでもいい。どうでもいいのだが——。
「か、かみは…..?」
あるべきものが——
「お、おおおお、オレのか、髪いいいぃぃぃぃい!!!」
——無かったのである!!
かつて絶叫するほど『寝耳に水』だったことがあるだろうか。
いや、まだ寝耳に水の方が良かった。こちとら『朝鏡にハゲ』である。
朝六時半の学生街。アパートに響いた信心深い絶叫は、4月の朝焼けに、二度寝するように溶けていった。
アパート前で犬の散歩をしていた信心深い老人は顔を顰め、しかしその内容に神があると分かると、狂信者がいるのかとさらにその皺を深めた。
犬はワンワンと吠え始め、雀はちゅんちゅん鳴いている。
——かくして、19歳1浪ピカピカの大学1年生。山下剣真は朝起きたらハゲていた。