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公爵令嬢の婚約解消……それは男の沽券に関わる……

作者: つくも拓

前作の「公爵令嬢の婚約解消……そして」では冒頭で違和感を感じられた方もおられると思います。

元々は当作品が先にありました。

……後書きに続く


※本文の最後を修正しました。

無事卒業も決まり、今日はプロムナード。卒業記念パーティーだ。

仲の良い取巻き達と楽しくおしゃべりしながら会場に入ると、会場の真ん中で誰かが私を睨んでいた。

あ、私の婚約者のウイリアム皇太子様だ。

なんでそんなに怖い顔をしておられるのかしら?


「ウイリアム様、いかがなさったのです?そのようなお顔をなさって?」

「……本日この場で言い渡す。

アマンダ、そなたとの婚約は解消する」

「ウイリアム様、ご冗談はおよしくださいな」

「冗談でこんな事が言えるか!

おまえとの婚約は解消し、私はこのジェシカ嬢と婚約する事にした」

「ウイリアム様、なぜそのような! 理由をお聞かせください!」

「胸だ!!」


最低!!


ウイリアム皇太子の隣に立っているジェシカは学園一のタユンタユンと名高い。


「私も辛抱したんだ。そのうち大きくなるだろうと」

「だからと言って」

「せめてDだったら我慢もできた。しかし君は永遠のゼロ……

もう自分の気持ちに嘘はつけない!

君では勃たないんだ!

私はおっぱい星人なんだ!」


公衆の面前で何をカミングアウトしてるんじゃ!


「この事は国王陛下はご存知なのですか? うちの父は?

そもそも貴族の結婚は政略結婚。

当人同士の気持ちなど二の次なのですよ」

「そんな事は分かっている。

しかし王族は他にもいるが、私は私だけなのだ。

自分を殺して王位につくか、自分の性癖きもちに正直になるか?

そして私は例え廃嫡されようと自分の性癖に素直に生きようと決めたのだ。

父上達もきっと分かってくださるはずだ!」

「私が何を分かると言うのだ、ウイリアム」

「父上!?」


国王陛下と王妃が公爵夫妻を伴いそこにいた。


「改めて聞こう。

ウイリアムよ。私が何を分かると言うのだ?」

「はい。申し訳ないとは思いますが、公爵令嬢のアマンダとの婚約は解消し、このジェシカとの婚姻をお認めいただきたいのです」

「戯けた事を申すな!そのような事が罷り通ると思うてか!」

「皆様には申し訳ないとは思いますが、王族は他にもおります。アマンダを娶らねば王位につけないと申されるならそれも結構…この婚約は是が非でも解消いただきたい」

「ウイリアム王子よ、娘の何が不満だ」

「公爵閣下。不満はただの一点。他は我慢できてもこれだけは譲れぬのです」

「それは?」

「胸です」

「「アホかーーー!!!」」

「なんと謗られようとこれは譲れません。

私はあの胸では勃たないのです!

同好の士であるお二人にはお分かりいただけるはず」

「「何を言っている…」」

「そうおっしゃっても目が泳いでおられますよ」

「ざ、戯言を申すな!」

「父上、執務室に隠してある巨乳メイドコレクション。時々勝手に見させていただいているのですよ」


王妃のまなじりが釣り上がる。


「陛下。全部捨てなさいと申しつけたはずですわよね?」

「お、王妃よ、嘘だぞ!ウイリアムの戯言だぞ!?」

「ウイリアム?」

「母上、私のお願いを聞き届けていただけますか?

私はジェシカがいれば父上のコレクションなど不要ですので」

「そなた、本当に反応しないのですか?」

「いざと言う時に貴婦人レディに恥をかかさぬよう、その手の店で筆下ろしをしておくのはご存知かと。

その時にできないのでは股間…じゃなかった。沽券に関わりますので」

「まあこの場合はどちらでも変わりませんが」

「事情を話し試したのですが、C以下では摩られようと舐められようとピクリとも」

「EDと言う訳では?」

「D以上でしたらちゃんと反応するのです!」

「まあ…」

「母上はFですから父上はお幸せな生活を送っておられますが、私はこのままでは。それにアマンダも可哀想です」

「廃嫡も覚悟というならば仕方ありませんね。それに子を成せないと言うのは由々しき事態ですので」

「ありがとうございます、母上。

こちらにコレクションの場所を書いておきました。

もちろん執務室以外のものも」

「裏切り者!おまえには男同士の暗黙の了解と言うものを知らぬのか!!」

「息子の人生を犠牲にしてご自身の政治基盤を固めたいだけの父上とでは男同士の絆などございません!」

「おのれ、ウイリアム!!」

「あなた、お黙りなさい!! 折檻です!

衛兵! 陛下を連れて参れ!!」


こう言う時の王妃様には逆らわない方がいい事を知っている衛兵達は、嫌がって逃げようとする国王を引きずって王妃の後について会場を後にした。


「公爵閣下、身内のお見苦しいところをお見せし申し訳ございません。

此度のお願いはアマンダ嬢に落ち度は無く、すべてこの身の性癖に起因するもの。

されど私も健康な男児ゆえ、やれないのは辛いのです。

王妃には少なくとも勃つ相手でないと」

「ウイリアム王子よ、それは公人としていかがなものかな?少しは王家としての責任と言うものをだな…」

「何せ王家は愛人を囲う事が法で認められておりませんので、公爵閣下と違ってリンダさんやアンジュさんのような方々を愛妾とする事もできません」


公爵夫人のまなじりが…

公爵閣下は入婿のため夫人が実権を握っている。


「リンダ?アンジュ?…愛人を囲っているのですか?」

「公爵夫人。この度は誠に申し訳ございません。

この身の不徳ゆえ夫人の義息になる事は叶いませんので、せめてものお詫びとしてこちらを」


渡された書状を確認し、頷く夫人と青ざめる公爵。


「アマンダ嬢のお相手となる者はすでに目星をつけております。責任持って推挙いたしますのでご安心ください」

「ウイリアム王子、あなたの誠意は確かに受け取りました。その言葉を信じこの場は納めましょう。

ではあなた、帰りましょう。お話しがあります」


公爵は自家の私兵に連行ドナドナされて行った。


廊下のどこかで国王と公爵の声によく似た悲鳴が聞こえるが、気のせい気のせい。

貴族たる者は大人の対応を心得ている。

きっと国王陛下や公爵閣下は婚約破棄の事後処理のため早々に退場した事になるはずだ。


これで一件落着…とはならなかった。

王弟であるジョン王子派の腰巾着である侯爵家のオーガストがここぞとばかりにウイリアム王子を追い落としにかかった。


「はっ、王子ともあろうお方が容姿で人を区別するとは!

どうやらウイリアム王子は博愛精神と言うものをお持ちでないらしい」


これにはウイリアムもカチンときてしまった。


「私は伴侶となる者に誠を尽くしたいだけだ。

それに、貴様のは博愛主義とは言わん!

下半身に節操のない両刀使いと言うだけではないか!」

「ウイリアム殿下、言葉が過ぎます!オーガスト様はそのような方ではございません!!」

「誰だ、そなたは? この間オーガストが連れていた者と違うが?」

「え……オーガスト様、どう言う事ですか?」

「い、いや…」

「まさかギュンターと…」

「ギュンター?ギュンターなら金髪黒眼だろう?私が見たのは栗毛で碧眼だったと思うが…」

「栗毛の碧眼と言うとどっちだったっけ…?」

「!………オーガスト様……僕だけって言ってたじゃないですか……あの言葉は……あの言葉は嘘だったんですか」

「だから私は言っただろう?この男は下半身に節操のない両刀使いだと」

「まさか…女とも? 許せない!!あなたを殺して僕も死ぬ…死んでやるぅーーー!!」


近くのテーブルにあったナイフを握る少年を見てオーガストは逃げ出す。


「いかん、誰か止めろ! 

バカ!なんでオーガストの方を羽交締めにする!

その子を止めるんだ!

ナイフは腰だめに身体ごとぶつかっていけ?

ナイフの使い方としては正しいが何を教えてる!

オーガストなどどうでもいいが、その少年を殺人者にするんじゃない!!」


少年が取り押えられオーガストが無事逃げおおせた事で会場のあちこちから舌打ちが聞こえた。


貴族たる者は大人の対応を心得ている。

一人の少年の未来を考慮し何もなかった事になるだろう。

廊下から聞こえる何人もの罵声とオーガストの声に似た釈明の声や悲鳴もきっと気のせいだ。うん、そう言う事にしておこう。


「まったく……兄上にも困ったものだ。色恋沙汰ラブアフェアはスマートにが基本であろうに」

「なに言ってんだい、この似た者兄弟が!」

「誰かと思えばユーリではないか。あの兄と似た者扱いとはご挨拶だな。振られた腹癒せか? 平民風情が」

「確かに私は平民。お貴族様のあなたに弄ばれても泣き寝入りするしかないわ」

「ほう、分かっておるではないか」

「だからと言ってね、振るにしたって礼儀ってものがあるでしょう!セプター、あなた、私の事をなんて言いふらしてるのよ!」

「ん? ゆるゆるユーリだが?」

「自分のお粗末な逸物を棚に上げて私のあそこが広い様に言いふらさないでよ!」

「は?言うに事欠いて私の物がお粗末だと?」

「生理用具入れた時より挿入感がなかったわよ、この粗チンが!初めてだったのに無理矢理あんな物で傷物にされた上に酷い噂まで広めるなんて……お粗末じゃないって言うならここで自慢のモノをお披露目してみなさいよ!」

「できないと思っているのか? やれやれ、周りの者が自信を失わねば良いが」


セプターは自信満々で逸物を…


「「「小っさ」」」


「ものを知らぬと言うのは不幸だな。このデカさがわからぬとは」


勝ち誇って晒し続けるセプターに憐れみに視線が注がれる。


「兄貴のオーガストより酷えな」

「無理矢理ってのもアレだけど、相手した女性をあんな風に言いふらすなんてな」

「それにアレじゃ誰でもゆるゆるだよな」


ざわつく周りの反応にセプターは不安になってきた。


「待て、待ってくれ! 確かにユーリのことを悪く言ったのは配慮が足りなかったかもしれない!

それは詫びよう!!

しかし私のが小さいと言うのか!?」

「「「うん」」」

「そんなバカな!! 筆下ろししてもらった『ペンメイカー』のシェリルさんは」

「セプター……おまえ風俗嬢のリップサービスを本気にしてたのか?」

「リップサービス?確かに口でもしてもらったが?」

「バカ野郎、リップサービスってのは客を喜ばせるためのおべんちゃらの事だよ!」

「……つまり…嘘?」

「「「うん」」」

「そんな、そんなバカな!!見せろ、見せてみろ!!!」

「俺のは普通サイズだから、大勢の前で見せびらかすのは」

「俺も」

「それにこの大きさで男の価値が決まる訳じゃないだろ?気にするなよ。小さくたって」

「見せられないんだろう、俺のより小さいから見せられないんだろう!!」

「……さすがにおまえのより小さいと思われるのは沽券に関わるな」

「俺もちょっとカチンときた」


いきなり始まる品評会

女性陣の顔は赤いが指の隙間はしっかり空いている。


「…あら、お身体に似合わずサイズは普通ね」

「…あら、あの方は可愛いお顔をして…凄いわ」

「アレは私の獲物よ。手を出さないでくださいましね」

「まあ、まだ剥けていないわ、あの子」

じゅるり……

肉食獣のオーラが……


「本当にあんな大きなものが入りますの…?」

(聖女様だ!)

自信のない男達から癒しを求める目が


「大丈夫だよ。女の身体は赤ちゃんを産むからね。いくらなんでも赤ちゃんより大きなものはないだろう?

咥え込んだら同じさ」

(性女様だ!)

相手のいない男達から救いを求める目が


「なんだ、留学生。そんなモノだったのか」

「俺のは普段はこんなもんだけど、膨張率と硬さが違うんだ」

「嘘つけ。本当だって言うなら勃ててみろよ」

「オカズもなしじゃあな…」

「フ……まだまだだな」

「カイム、何言ってんだ?」

「私はシレーヌを思うだけでいつでも硬くできる」

「ちょッ!いきなりなにを言い出すのよ!!」

「…シレーヌ。君は美しい」

「こんなところでやめてよ!」

「私の体を君にあげよう。さあ、合体だ!!」

「アモンでも貫いてなさい!」

「君が望むなら。この勝利あいを君に捧げよう」

「わーーーーーー!!!

カイム先輩止めてください、僕うんこ細いんです!」


会場のあちらこちらで騒ぎが起きている。

ウイリアム王子はとっくに逃げだしており、アマンダは蚊帳の外にいた。

「今年のプロムは酷い有様ですね、アマンダ様」

「あ、これはアンドレ王子。ご機嫌麗しゅう」

「この乱痴気騒ぎを二人で抜け出しませんか?」

「二人で?」

「私は以前より貴女の事をお慕いしておりました。その事を兄に打ち明けましたら兄がこれをくださいまして」

「ウイリアム様が?」

「〇〇〇のコントライブチケット」

「!」

「アリーナ席です」

「行く!!!」

「兄は貴女に本当に申し訳なく思っているのです。許してやってください」

「仕方ないですよね」

「今宵からは私と共に歩んでください」

「……不束者ですが、よろしくお願いします。アンドレ様」

「こちらこそ。アマンダたん」


アマンダたん?

たん……?

若干語尾に不安が……まあいいか。



貴族たる者は大人の対応を心得ている……

orzになっているセプターにもきっと明日の陽は登る

                 ……といいね

ーーーーーーーーー

「公爵令嬢の婚約解消……それは男の股間・・に関わる…」(完)

ご一読の通りの少々下品な内容ですので投稿を躊躇してました。

でも、反応を見てみたくなり…

比較して楽しんでいただけると幸甚です。


ああ! ごめんなさい、もうしません……だから貶さないで……お願い!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] こんなネタでデビルマンやるんじゃねぇーーー!(いいぞ、もっとやれ!)
[良い点] 連行(ドナドナ)のルビ!!! [気になる点] えと、その、ユーリさん、勇気をもって言い出しましたが、お幸せになってほしいなぁ……。 [一言] 大変、誠意のある王太子様だったと思います。 ア…
[良い点] 性癖が偏っているだけで有能な王子と男子運動部のノリでポロリの貴族たち [気になる点] デビルマンがいますね… [一言] 後書きはけっこう仮面風に「永井豪先生ごめんなさ〜い!」で〆るべきかと…
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